空の移動手段として人間が乗り込む「空飛ぶクルマ」が急速に注目を集めている。
2025年の大阪・関西万博では、会場と周辺の空港や市内などを結ぶ8つの路線が候補とされ、旅客輸送として初の実用事例となりそうだ。
「空飛ぶクルマ」は海外では「eVTOL(電動垂直離着陸機:Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)」と呼ばれているが、経済産業省は正式名称の「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」を一般にもわかりやすい「空飛ぶクルマ」とし、認知拡大を目指している。
空中を移動する「空飛ぶクルマ」は、都市での交通渋滞の緩和、時間短縮などによる物流の効率化、地方へのアクセス向上などが期待され、普及によりインフラ整備、保守・安全管理などの新たなビジネスも生まれる。
飛行実験
今年2月には、一般社団法人「MASC(M”izushima “A”ero “S”pace “C”luster)」が大分市で国の許可が必要な屋外での有人の試験飛行を初めて行い、30mの高さで1kmほどの距離を飛行、実際に登場した人の話では、多少揺れなどを感じたものの安定した飛行で怖さなどは感じなかったという。
この時に使用された機体は中国イーハン社製の「EHang 216」(2人乗り、高さ1.7m、幅約5.6m)で、基本的に自動運転で飛行するのでパイロットは不要だ。
「空飛ぶクルマ」の機体は、来年オリンピック・パラリンピックが行われるパリでの実現を目指しているドイツの「ボロコプター」、国産の「スカイドライブ」、「本郷バレー・リモート視察」に登場していただいた「テトラアビエーション」、アメリカの「ジョビー・アビエーション」などがあるが、今後は参入企業が増加することが予想される。
経済産業省と国土交通省は3月18日に開催された第8回「空の移動革命に向けた官民協議会」で、「試験飛行ガイドライン」と「空の移動革命に向けたロードマップ」を公表、2025年の大阪・関西万博までを実証期間とし、既存の空港に加え建物の屋上に離着陸場を設置する方針など、2025年の万博以降から事業をスタートさせてゆく構想が示された。
マンガやSFの世界だと思われていた「空飛ぶクルマ」が、日本で実際に飛び始める日が近づいてきた。
======== DATA =========
●動画【空飛ぶクルマ】《九州初》 大分市にて試験飛行成功!初の二地点を行き来|MASC
https://www.youtube.com/watch?v=O0LVaYbN_vw
●一般社団法人・MASC
https://masc-jp.com
●イーハン
https://www.ehang.com
●ボロコプター
https://www.volocopter.com
●スカイドライブ
https://skydrive2020.com
●テトラアビエーション.
https://www.tetra-aviation.com
●ジョビー・アビエーション
https://www.jobyaviation.com
●空の移動革命に向けたロードマップ(改訂版)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/robot/pdf/airmobility_rm2021.pdf