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- 第73回『チャンミーグヮー』(著:今野 敏)
まず、先月開催された「第135回 全国経営者セミナー」での
講演会『リーダーの読書術』に、多くの方にご参加いただき、
どうもありがとうございました。
皆さんの熱心なお姿を目の当たりにして、一段とヤル気が高まりました。
また、終演後の書籍サイン会の場では、短時間ではあったものの、
お一人お一人とお話できたことは格別に嬉しいひとときでした。
我が講演が何か少しでもお役に立てれば幸いです。
ますますのご活躍、心より応援申し上げます!
尚、当日の講演の模様が早くもCDにてお楽しみいただけるように
なっております。ご参加された方も、惜しくも参加できなかった方も、
よろしければ、ぜひお求めください。
さて、今、平昌オリンピックでは一流アスリートたちが
これまで積み重ねてきた人生の全てを懸けて大活躍中ですね。
我々も負けていられません!
社長人生、リーダー人生をより豊かに、より高みへと導く
とっておきの一冊を紹介したいと思います。
それは、
『チャンミーグヮー』(著:今野敏)
です。
本書は琉球空手の伝説の流祖、喜屋武朝徳氏を描いた伝記小説。
おそらく73回のコラムの中で、最もビジネス色の薄い1冊です。
それどころか、主人公である喜屋武氏は生活していくのがやっと経済の状態。
しかし、社長やリーダーにとっては、これ以上ないほど学び多き作品といえます。
一体なぜか?
それは、喜屋武氏が生きた時代、そしてその生き様に、
社長やリーダーならぜひ知っておきたいこと、共感や刺激になることが
ぎっしり詰まっているからです。
氏は明治維新後の明治3年生まれ。
廃藩置県で揺れる激動の時代に琉球で育つ。
喜屋武家は首里士族の名家で、父の朝扶氏は、
琉球王国末期から明治にかけて活躍した著名な政治家。
しかし明治12年の琉球王国消滅によって多くの士族は職を失い、
喜屋武家は沖縄を裏切ったというレッテルを着せられます。
教科書では学びえない当時の沖縄、そして日本の様子を感じることができます。
そして、本書に記されていることは、単に歴史を知るばかりではなく、
今の時代にも大いに関係あることなのです。
また、ビジネス的な見方として、
当時は空手家という職業はなく、沖縄では道場を持つ者も
ほとんどいなかった、という点に着目されるとよいと思います。
全く土壌のないところから、いかに氏が空手家として身を立て、
後世に名を残すに至ったかは、企業や組織の繁栄にも通じます。
何より、この達人の生き方から、リーダーとしての在り方、心得を
学び取れることでしょう。
非常に面白いので、もし就寝前に読む場合は徹夜覚悟でどうぞ(笑)
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『ベリー・ベスト・オブ・ジェームズ・ゴールウェイ』ジェームズ・ゴールウェイ (演奏)
です。
名門ベルリン・フィルハーモニーの首席フルート奏者としてその名を馳せ、
退団後も第一人者として活躍中のゴールウェイ。
エリザベス女王よりナイトの称号も授与された彼の奏でる円熟の音色は、
まさに達人と呼ぶにふさわしい。
本書の主・喜屋武朝徳氏との達人の競演を、ぜひお楽しみください。
では、また次回。
※団長の第135回 全国経営者セミナーの講演CD