menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

仕事術

第76回 有機EL 日本勢が巻き返しの兆し

デジタルAVを味方に!新・仕事術

 
テレビやスマートフォンなどの画面として話題の有機EL。OLEDとも呼ばれ、液晶に代わる次世代映像表示技術として注目を集めています。
有機ELパネルの量産化においては、LGやサムスンなどの韓国勢が先行し、特に現在発売されているテレビ製品は、知り得る限りすべて、LGディスプレー社製のパネルを使用しています。
日本勢が遅れを取った原因はいくつかありますが、最大の要因は、画質やその他の性能で究極を目指したが為に、量産化の難易度が高く、解決に時間を要したためです。
先行したLGディスプレー社の有機ELパネルは、既にコストダウンの段階に突入していて、勢力拡大に拍車が掛かりそうです。
 
こうした状況下で、日本勢にも明るい兆しが。ソニーとパナソニックの技術を受け継ぐ株式会社JOLEDが、2017年末に世界初で「印刷方式」の有機ELパネルを製品化。同パネルを採用したPC用ディスプレー製品も発表され、話題になっています。
現時点ではサイズが21.6型と比較的小型で、輝度も限定的ですが、量産化の目処が立ったのは大きな前進で、今後の展開に期待が高まっています。
 
 
■有機ELの2大方式を解説
ここで、有機ELパネルの2大カラー表示方式と、それぞれの特徴を整理しておきましょう。
現在発売中のテレビ(55型以上)で採用されているのは「カラーフィルター方式」などと呼ばれるタイプで、白色に発光する有機EL素材と、その光を主にR(赤)、G(緑)、B(青)に変換するカラーフィルターを組み合わせ、フルカラーを再現します。
もう一方の「3色塗り分けタイプ」は、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれの色で発光する有機EL素材を用います。特にインクジェットプリントなどの印刷技術を用いるタイプを「印刷方式」と呼び、「蒸着方式」と区別しています。

digital20181no1.jpg
それぞれの特徴ですが、「カラーフィルター方式」は、発光体となる有機EL素材が単一で済み、寿命も含めて品質を安定させ易いのが利点です。一方、色再現はカラーフィルターの制限を受け、光の取り出しにロスを伴います。液晶ほどではありませんが、斜めから覗くと色味が変化して見えるのも弱点です。
「3色塗り分けタイプ」は、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれの色で発光する有機EL素材を用いるので、純度の高い色再現が可能。光の取り出し効率も高く、言い換えると、低消費電力で高輝度な表示により適した方式と言えます。一方、素材の都合上、湿気による劣化を防止するために、高度な封止技術が必要で、生産効率や歩留まり、引いてはコスト面で不利な状況です。
 
今後はどうなる?
寿命を含め品質の目処が立った「カラーフィルター方式」が先行しましたが、画質の優位性や、コスト面を含めて大量生産に向いているのは「印刷方式」と考えられています。JOLEDが製品化に漕ぎ着けた今、寿命問題は概ね解決できたと見て良いでしょう。「印刷方式」は、インクジェットプリンター技術が利用でき、製造装置がシンプルで、反物のように長尺、言い換えると超大画面にも向いた技術で、今後は「印刷方式」が一気に巻き返すかもしれません。
ブラウン管時代には、高品位なテレビ製品で世界を席巻した日本企業。有機ELでも成功を収められるのか、今後の動向にご注目を!
 

第75回 話題の「AIスピーカー」とは?前のページ

第77回 プレゼンでも映像鑑賞でも大活躍のお薦めプロジェクター次のページ

関連記事

  1. 第39回 FAX革命!スマホでチェック!

  2. 第110回 手軽に3D設計!イメージを形にして分かり易く伝える!

  3. 第96回 スポーツ観戦は高画質4K有機ELテレビで!

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 後継者

    第31回 後継者をどう育てる
  2. 経済・株式・資産

    第36話 少しずつ厳しくなっている破綻後債務者への金融機関による債権回収
  3. 製造業

    第281号 「後工程はお客様」を100回唱えるより、実際に次の工程を見よ。
  4. キーワード

    第65回 “草の根資本主義”の登竜門 「中小企業青年...
  5. 社員教育・営業

    第28講 お申し出者のお宅への訪問対応~その6~
keyboard_arrow_up