イヤホン利用で煩わしいのがケーブル。使用時は体にまとわりついたり、収納時に絡んでしまったりと、なかなか不便なものです。
そうした問題を解決し、人気を博しているのが「ワイヤレス」(無線)タイプ。最近では、電車の中でも利用者を見かけるケースが多くなりました。
そして今、さらなる進化が!左右を繋ぐケーブルも無く、耳栓のように左右独立した「完全ワイヤレス」タイプの製品が続々と登場し、トレンドになりつつあります。
そこで今回は、ワイヤレスイヤホンの基本とトレンドを、具体的な製品例も交えてご紹介します。
■スマホの普及でワイヤレスイヤホンが身近に!
音声の無線伝送には少なからずコストが掛かりますが、スマホの普及でその状況は変わっています。
現在発売されているスマホやタブレットには、ほぼ100%、Bluetooth(ブルートゥース)と言う規格に沿った無線通信機能が内蔵されているので、ユーザーは、同規格に対応したイヤホンを購入するだけで、音をワイヤレスで聴く事が出来ます。
アメリカのイヤホン市場では、Bluetoothタイプのイヤホン/ヘッドホン販売額が、従来のワイヤード(有線)タイプを超えたとの調査結果もあり、もうBluetoothワイヤレスが「標準」と言っても良さそうです。
さらに、イヤホンのワイヤレス時代を決定づける出来事がありました。iPhone7の登場です。
2016年9月に発売を開始した最新のiPhone7では、遂に本体から、有線イヤホン用のジャック(差し込み口)が廃止されました。有線イヤホン接続要のアダプターは付属していますが、「ワイヤレス」が主流であることを強く印象付け、ワイヤレス化がさらに加速を増しそうです。
■新トレンド!「ワイヤレス」から「完全ワイヤレス」へ
「ワイヤレス」イヤホン自体はそれほど珍しいものではありませんが、新トレンドは「完全ワイヤレス」。
両者の違いですが、一般的な「ワイヤレス」イヤホンは、スマホとイヤホンの間のケーブルが無くなったものの、左右を繋ぐケーブルは存在しました。このケーブル部には、無線で音楽を受け取ってイヤホンを鳴らす電子回路やバッテリーが搭載されていて、必要不可欠なものです。
これに対して「完全ワイヤレス」イヤホンは、電子回路やバッテリーを超小型化し、左右のイヤホン本体それぞれに内蔵することで、完全なケーブルレスを実現した製品を指します。
このアイデアを初めて具現化したのは、ベンチャー企業の「EARIN」(イアイン)という製品でしたが、市場の反響が非常に大きく、大手を含めて追随するメーカーが増えています。
なかでも象徴的なのは、やはりApple社の動き。iPhone7と同時に、左右完全独立のワイヤレスイヤホン「AirPods」(エアーポッズ)を発表し、話題になっています。
当面は、完全ワイヤレスイヤホンが注目の的になるのは間違いなさそうです。
老舗オーディオメーカーのオンキヨーも、10月に完全ワイヤレスイヤホン「W800BT」の発売を予定しています。手元にサンプルがありましたので、写真も交えてご紹介しましょう。
【写真:オンキヨー W800BT イヤホン本体】
ケーブルが全く無く、耳栓のように見えますが、音質も良い立派なイヤホンです。
【写真: オンキヨー W800BTの充電器】
バッテリー内蔵の充電器、兼、携帯ケース。利用後にケースに収めると、イヤホン本体に充電できます。
■さいごに~「完全ワイヤレス」にも弱点?!
完全ワイヤレスイヤホンは非常に快適で便利ですが、弱点もあります。
まずワイヤレスなので充電が必須ですが、完全ワイヤレスの場合は、コンパクトが故に内蔵しいる電池の容量も少なく、1度の充電で再生時間が短くなりがちです。多くの製品は、充電も可能なバッテリー内蔵の携帯ケースを付属させているので、「利用が終わったらケースに収める」という習慣をつければ、実用上問題はなさそうですが、覚悟しておきたいポイントです。ほか、「小さ過ぎて紛失しそう・・・」、という心配も聞こえてきます。完全ワイヤレスイヤホンは、当面、トレンドとなりそうですが、定着するかどうかは、今後の経過を見守りたいと思います。