こんにちは。香港在住海外進出コンサルタント野田久美子です。
昨年の民主化デモ騒動がニュースとなった時期から今年2月頃までは、各方面共に日本からのお問い合わせやご依頼が一時止んでおりましたが、このところ再び「香港やアジアへ進出したいんですが…」逆に「香港からの誘致を考えています」というお電話やメール、面談リクエストも増えてまいりました。
それは大変光栄なことではありますが、毎度お話を伺っていると、「おもしろい。それはイケそう!」というパターンと、(失礼とは存じますが)「絶対に上手くいかない!」と即時に判断してしまうパターンが正直ございます。
今回は海外進出にご興味がある方々やご検討中の皆さんへ。今後何かのお役になるよう『心構え』として、まずは失敗に至らぬようマイナス例からお話ししてまいりましょう。
「そのスタンスでは上手くいかない!」一例
▼ 意欲だけで商材が伴っていない
商売経験があまりない方やビジネスや海外への憧憬だけで、戦略の(「んりゃく」は弊社で考案しますが)「せ」の字も持たず、「小売・卸しを海外で…」「海外でやったらと周りに言われ…」というものの在庫を所有していない。
サービス業等ではノウハウもなく「やってみたいから」の理由だけで、「どうしたらいいですか?」と相談され、やる気も重要ですが…と呆気にとられることも実は珍しくありません。
そういうタイプの方はコンサルティングをどこか役所の相談窓口同様に思っている節もあり、おんぶに抱っこを期待しているのだろうと思いますが、弊社は誠心誠意で対応を心がけておりますため加減な言動はいたしておらず。
夢は見ていただきたいのですが、現実的なアドバイスを加えると失望したかのようにテンションがダウン。ご自身(または企業)に海外へ送り込みたい商材がなければ論外です。
▼ 「海外だから…」と高を括る
これは問屋さんや代理店系によく見受けられますが、「海外へ売れば倍で売れる」といまだ勘違いされている方もいらっしゃいます。確かに生鮮食品など日本国内価格の倍以上のお値段が付く項目もありますが。
ファッション雑貨を扱うある代理店さんからのご相談の際、FOB東京の価格(下代)が香港からでも利用が出来る某大手ECサイトでの販売価格より高く、一言ご忠告させていただくと「自社製品ではないので…」との返答で終了。
隙間のブルーオーシャンを狙っておられるかと思いますが、今は海外からであろうともネット検索で値段やサービス内容の比較も容易で、且つ通販シェアも拡張しているため「海外だから…」という甘い感覚は捨てるか、ブランド化するなりして価値ある商材に仕立て上げるかがキーです。
▼ 「俺は」「私は」の自己過信
旅や視察などで香港への訪問を繰り返してくると、周囲からは「また香港へ?スゴイ。いいな」などと羨慕されたり、また現地にも次第に慣れ、土地勘も身につき、香港でも知人・友人が出来てくると「日本と海外を往復」→「海外でミーティング」→「自分ってもはや国際人じゃないか」と誰もが大なり小なりの自負が生まれます。
わたくしの以前のクライアントさんでもいらっしゃいましたが、最初とても真剣+熱心で、こちらもどんどん情報提供並びシミュレーション、そして実践へと導いていくため「野田さん、来年は香港拡大となりますから」と意気揚々のご様子でした。
暫くして「現地でいろいろコネクションも出来たし、もう我々だけで大丈夫です!これまでありがとうございました!」とおっしゃられたのですが、どうしたことか一年後に撤退。信頼関係を築いたはずのローカルにまんまとやられてしまったとのこと。
香港は親日で比較的治安も良い都市ですが、そこはやはり海外です。ビジネスは直感や勢い(スピード)も大切ですが、チャンスもあれば落とし穴もあることはご留意いただきたい。
また逆パターンで自分は英語も出来、海外に慣れていると過信して、数年自社で視察及び営業活動したものの成果が得られず。「どうしたらいいですか?」とSOSをいただく企業さんもございました。
…と、今回はタイトル後者から取り上げ、少々辛口話となったかもしれませんが、心構えとしての事前アドバイスにつながれば幸いです。
《お知らせ》です!
6月16日(火)19:56~放送TBS系列「世界の日本人妻は見た!」は、弊社が全面現地コーディネートをいたしました香港編。香港在住日本人妻たちの目線を切り口に香港での生活事情(情報)へと展開するバラエティー番組。香港情報のアップデートにつながるネタもございますのでどうぞご覧になってみてください。