こんにちは。香港在住海外進出コンサルタント野田久美子です。
暫くご無沙汰をしておりましたが、早いもので、もう11月も終わり。皆さま、お変わりありませんか?
さて、今「香港」といえば、既に一カ月以上となる学生たちによる民主化運動が注目されており、日本の友人、知人からは「大丈夫?」と心配そうなメールが届き、ワイドショーや報道番組からは「今、どういう状態ですか?最近、また何か起こりましたか?」と、電話がかかってきております。
この「雨傘革命」と名付けられた民主化デモは香港の歴史的一コマ。今回はその状況を香港在住のわたくしからの目線で、レポートをいたしたく思います。
ニュース映像は毎度同じで、やや誇張気味!?
10月27日放送テレビ朝日「ここがポイント!!池上彰解説塾」番組表の見出しでは、香港の学生デモを特集するようなフレーズでしたが、見れば、最初と最後に催涙弾が使用された際の同じ映像を流したくらいで、ベルリンの壁崩壊や天安門事件、アメリカの人種差別などの民主デモの歴史にほぼ尺を使い、上手くつないで番組が成立していました。
要は、長引いているだけであまりネタにならないのです。
傘くらいしか武器は持たず、ただ居座る態度で抗議を続けている彼ら…。ある日のどなたかのツイッターで、「香港のデモでしかありえないこと。①宿題をやりながら参加 ②市民に迷惑をかけることで謝る ③自衛の武器は傘 ③参加者同士に気を遣う ④人がたくさん集まっても芝生は踏まない ⑤徹底的なゴミ拾い」とも。
確かに長期化しており、一部道路が封鎖されているため、交通機関に影響され、通り沿いの商業施設などは売上に響いていますが、デモがおこなわれている場所以外では、生活には大して影響がないのが実情です。
むしろ円安で、海外で売りやすくなった!
先週土曜日に目抜きの大通りの一部が占領されている香港島の繁華街コーズウェイベイへも足を運びました。バスを利用したため渋滞に巻き込まれ、時間がかかりましたが、日本の食材を中心に取り扱うシティスーパーは大勢の買い物客で大賑わいでした。
(上画像)イベントコーナーでは、日本からの食品店がプロモーションをおこなっており、いくら・ウニなどがのった三色丼が一人前128香港ドル(約2千円)ほど。私はちょっとためらいましたが、横から入ってきた香港人女性は5秒後には手に取っていました。
この円安。日本から海外へ持ち込むには良いチャンス!アベノミクス前は1香港ドル→10円を切ったことがあり、たとえ10円計算でも、国内小売価格500円の商品を香港で販売する場合、50香港ドル+(海外向け諸経費)。
それが、現在香港ドルから円へのレートは1香港ドル→14円台のため、36香港ドルで販売が可能となり、この差は大きく、消費者や代理店側も購入がしやすくなり、定番化したアイテムなら、利益率が上がっています。
但し、直営店など家賃や人件費など経費が高騰する場合は別計算となりますが、この先、更に円安見込ともいわれておりますので、海外進出を検討中の方々はますます腰を上げやすくなるでしょう。
香港の今後・・・
確かに、これから33年で、徐々に中央政府が参入してくるでしょう。しかし、香港は97年に中国へ返還され、50年は一国二制度を継続されることとなっておりますが、極端な話、2047年からは社会主義になっても仕方がないという環境下。
中国に支配されたくないのであれば、返還前のように、蓄えがあれば、カナダやオーストラリア、シンガポールなどへの移民。外資企業への就職や国際結婚で海外へ出るなど、選択肢を考えざるを得ない。
しかし、あと33年。時代も変わり、中国自体も変わるかもしれず、この先は正直まだ結論が出ません。
今回の学生デモ騒動に関し、デモ参加者のおよそ9割が一年以上継続するなどの意思があるとも報道されましたが、私の見解では、今は気候が良いこともあり、クリスマスイブの歩行者天国エリアでもトレードマークとなった傘が並ぶ気がしますが、旧正月(来年は2月19日)目処が節目ではないかとも思います。なぜなら、季節的に夏ともなれば体力的に継続は厳しい。
まもなく香港政府から次のアクションが起きるでしょう。その際、ヒーロー化してしまい引くに引けなくなった人による小競り合いは起こったとしても、香港人の気質からすれば「熱しやすく、飽きやすい」そして「現金」なところもあるため、今後、7月1日(返還記念日)、10月1日(国慶節)を目処に再発はきっと起きても、一年以上続くとは考えにくいです。
大人たちや外国人居住者からは、「自分たちが生まれた香港を自分
lたちで守りたい」という精神を貫いている姿を称えている人も多く、私自身も「頑張れるところまで頑張ってみるといい」という思いですが、実際手を貸すまでには至っておりません。ただ負傷者、或いは死者が出ることは絶対にあってはならないと祈っております。
最後に、今回の香港デモ騒動。日本企業が香港進出を考える場合、矛先さえ間違えなければ、小売・卸し、飲食、店舗展開、メディアなどのビジネスにおいては現在も然程影響がなく、逆に円安利用のチャンスといえます。
もし、香港へ進出してみたいという企業さんがいらしたら、まずは弊社までお問い合わせください。ご相談の他、「フロムジャパン発掘プロジェクト」も随時受け付けております。