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- vol. 7 三井住友銀行 夏限定Tシャツ・ジーパン勤務OKの試みやいかに
いよいよ7月、梅雨が明ければ日本の暑い暑い夏も本番。猛暑を超えた酷暑がやってくることを考えれば、従来のクールビズ・スタイルなど何の役にも立たないことは、去年の夏を体験した誰もが考えるはず。
そんな折、7月・8月の夏限定で、Tシャツ、ジーパンの軽装での勤務を認める試みを発表したのが、日本の三大メガバンクのうちの一つ、三井住友銀行の本店。
三井住友銀 Tシャツやジーパンで勤務OK 夏限定 3メガバンク初
アメリカでも今年の3月5日に、金融大手ゴールドマン・サックス・グループが、すべての従業員の服装規定を緩和、「全社的なフレキシブルなドレスコード」とする服装規定となり、スーツやタイは任意。その理由は「一般的に、よりカジュアルな環境を好む職場の性質の変化」だとのことでした。
今回の三井住友銀行の試みは働き方改革の一環、「リラックスして働ける環境作りを目指す」とのこと。また銀行の「お堅い」イメージを一変させたいという考えもあるそうです。
その軽装トライアルの対象として「お客さんに接しない部署の人から」というのは、非常に良い実験でしょう。今まで画一的かつ本来の主旨からずれてきているのではないかと思われるクールビズ・スタイルをしていた、それも「お堅い」イメージの銀行勤務の方々が、いきなりTシャツ、ジーパンまで軽装の範囲を広げられ、どのような2ヶ月を過ごすのか、是非とも期間内に社内の様子を覗いてみたいものです。
いずれにせよ、あの中途半端でおかしな、クールビズのせいで市民権を得てしまった、イタリアンカラーでボタンダウンのシャツ着用より百万倍良い。あの首が埋もれているか溺れているかのような暑苦しいシャツ、全然クールでは(カッコよくも涼しくも)ないのですから。
しかし、ここで今回の三井住友銀行における軽装の試みに関して素朴な疑問も幾つか。
その1:この軽装の目的は、「リラックスして働ける環境づくり」とありますが、この時期にやるということは「暑苦しい服の着用を避け、快適に仕事ができるようにすること」であると考えられます。だとしたら、この時期の装いの例としてジーパンをわざわざあげていること自体がおかしい。その理由は「作業服だから」などという野暮なことではありません。それは、ジーパンほど履いていて暑いし、蒸れるし、汗はなかなか乾かないし、湿ったその生地が足にへばりつき不快な上に、動きを妨げるものはないのです。欧米人がリゾートに行く際、ジーンズを履かないのはそれが理由。涼しさから言えば、夏用スーツのトラウザーの方が余程涼しいですから。どうやら「楽な格好=Tシャツにジーンズ」というステレオタイプの発想と感じてならない。一般的に楽な格好≠夏の楽な格好(涼しく快適な格好)ではないのです。本気で涼しく快適に、社員に仕事のパフォーマンスを上げてもらおうと考えているのだろうか?と思えてならなりません。
その2:スニーカーも良しということなのですが、他は何が可能なのでしょう?快適を求めるとしたら、ビーチサンダルはどうなのでしょう。やはり足は全部被っていないといけないのでしょうか?ちなみに靴下は履かないといけないのでしょうか?
その3:TシャツもどこまでOKなのでしょう?政治的メッセージが記されていたり、激しヘビメタやロックのプリントなどはどうだろうか?着心地が良ければ、首が伸びてへたっているTシャツも可能?などなど。
その4:通勤時のバッグはどこまで可能なのでしょうか?軽装に付随して、従来通勤で使っていたビジネスバッグが確実にアンバランスになります。例えば、ジーンズに襟のある半袖シャツやポロシャツ着用であれば、まだ従来のバッグもなんとか持つことができるでしょうけれど、Tシャツとなるとそうはいきません。ビジネスカジュアルを飛び越え、急激に完全カジュアルの域まで行くのですから、当然とてもカジュアルなバッグ、いやバックパックも飛び出してくることは想像に易いです。
その5:これらいろいろ想像してみるけれど、すべて男性向けのことであり、女性社員に関することは記事には記載されていない。もともと女性の服装は男性よりも選択肢が広く、男性のビジネススタイルのように画一化されていないので、暑さ対策の逃げ道もあったといえばあったのですが、「TシャツにジーパンOK」としたのが男性向けであったとしたら、わかりやすい基準としての例をあげる場合、女性にはどう表現するのか?もししているのであればどう表現したのか是非知りたいものです。
いずれにせよ、実験の対象となる社員の方々の本当の意味のビジネスシーンにおける感覚値の良し悪しが問われる夏となりそうですね。軽装の範囲を広げすぎて、「失敗だった、やはりやめよう」などということにならないことを心から願うとともに、経営トップの皆さまもこれから迎える酷暑の夏、人の上に立つ人としての威厳と涼やかさを兼ね備えたプレゼンスを保つ為のマネジメントを、是非とも心がけていただきたいと思います。