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vol. 9 プロトコル/ダイニング・エチケット 〜食後のナプキン扱いで本性が見える?!〜

ビジネスを一瞬で制する!一流グローバル経営者は知っている“社長の戦略印象リスクマネジメント”

いよいよ12月、今年も残り1ヶ月を切りました。
 
NYではHalloweenからホリデームードが盛り上がり始め、ニューイヤーまで続きます。日本でも12月は様々な集まりが催され、場を共にする方々と食事を楽しむ機会が増えるでしょう。仕事関係の集まりも少なくないはず。そのような時「食事を共にし、その状況を見れば、その人が分かる」。これは決して大袈裟な表現ではありません。
 
今回は、食事の終わり、その人の本性が見える「ナプキンの扱い」について触れておきましょう。特に経営トップそしてビジネスパーソンの方々には是非とも覚えておいていただきたいことです。中でも、日本国外(特に西洋圏)で仕事をする機会がある方や、日本にいても海外の方との接点が多い方は特に。なぜなら、これによって大きな何かを失うことがあるはずなので。
 
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ディナー・エチケットの中でも今回「ナプキンの扱い」にフォーカスすることに決めた、事の発端は、昨年友人が参加したプロトコルとダイニング・エチケットについてのレクチャーで、食事中に膝に置いていたナプキンを食後どうするかの説明が、あまりに驚愕だったという報告を受けた為。
 
その会を催していた講師の説明は、こう。「食事が終わったら、膝に置いてあったナプキンは思いっきりグチャグチャっとして、テーブルの上にポンっ!と置いてきます」だったそう。その理由は「きちんと畳むのを忘れてしまうほど美味しかったという意味だから」だそうです。そして「きちんと畳むのは、食事に満足しませんでしたというサインになる」ともおっしゃったとか。
 
いやはや仰天。私も仕事柄プロトコルは一通り勉強しましたし、今でもことあるごとに日本語で書かれたもの、英語で書かれたものの両方を確認しなおします。この話を聞いた後、自分の手元にある本に止まらず、違う本や様々な情報を駆使してリサーチを実施。さらには、NYのハイエンドな方々の食に携わる仕事を長年している友人や、ヨーロッパ式プロトコルに精通したその道のプロフェッショナルな友人を総動員して調べてみました。すると、英文の書物や文字化された情報、日本語で書かれている中でも王道の本には、「きちんと畳む必要はないけれど、軽くたたみ、自分の前にあるプレートの“左側”に置く」と書いていました(一部、「プレートの配置によっては“真ん中”に置く」という記述もあり)。そして、答えてくれたプロフェッショナルの友人達も皆、「軽く畳んで“左側”に置く」と同じ答え。彼女たちに、ナプキンをグチャグチャっとしてポンと置いてくるという説のことを話すと、「そんな行儀の悪い事、良いお家の人は子供でも絶対にしない」と口を揃えて言う有様。当然ですね。
 
「食後のナプキンは、使用した面が見えないように軽く畳み、自分のお皿の“左側”に置く」これがプロトコルとしてのダイニング・エチケットの正解です。
 
想像してみてください、あなたと食事をしていた人が、膝に置いてあったナプキンを食後グチャグチャっとしてポイっと投げるように右に置いたとしたら、どう感じるでしょう。それを目にして気持ちよく思えるはずがないでしょう。「エチケット」「マナー」共に重要なのは、自分を良く見せるために行うことではなく、人に迷惑をかけない、人を不快にさせない、その場を皆が気持ちよく過ごすためのこと。そう考えれば、ナプキンをグチャグチャっとしてポンと置くなどという、スマートでないだけでなく、荒っぽい行為が「マナー」としても「エチケット」としても成立するわけがないことは分かるはず。それに、ナプキンをどうするか忘れてしまうくらいに美味しい食事だったら、わざわざグチャグチャっとすること自体忘れるでしょう。万が一、グチャグチャポンが無意識の行動として出てしまう人がいたとしたら、日常がそういう人、残念ながらお里が知れます。その時点でアウト。もしビジネスやその他大事な場で、そのようなことをしたら、そんな「エチケット」も「マナー」もできていない、教養も場を共にする相手への配慮もない人とはちょっと・・・となるのは目に見えていますね。
 
実は、過去にたった一度ですが、このグチャグチャポン!を目の前でやられて言葉を失った経験があります。それは、ビジネスランチをご一緒した某地方の名士の男性。某超有名フレンチレストランの経営するカジュアルスタイルの支店での食事(ランチ)が終わり、そろそろ席を立つ時のこと。その方は膝に置いてあったナプキン(それは紙のものでしたが)で口の汚れを遠慮ない感じでぐいっと拭い(抑えるという静かな行動ではなく)、その後ナプキンを文字通りグチャグチャに丸めて、目の前にあったお皿の上にボン!っと投げ捨てました。それを目の当たりにした私が抱いた不快感というか、ある種の暴力をふるわれたような感覚は、その時のシーンと共にいまだ鮮明に記憶に刻まれています。そして、その方へのコンサルティングは、必要なことだけは簡潔にアドバイスし、早々にご辞退申し上げました。本来、ダイニング・エチケット自体もエグゼクティブ・プレゼンスのコンサルティングをする一環としてアドバイス差し上げた方が良かったのでしょう。しかし、初対面の人間を目の前にして、一切気にせず荒っぽい食事の終わり方をする人は、私の経験上「人を人と思っていない」。また、私には向けられませんでしたが、食事中の雰囲気の端々に周囲に対する横柄さが滲んで見え、最後のナプキン「グチャグチャポン」が決定打。これは何かがあったときに理解しあえず、問題解決ができない否こじれるだろうと確信。折角のお話ではあったのですが、丁重にご遠慮申し上げたということがありました。我ながら早い段階での良い判断だったと今でも思っています。
 
食事の仕方というのは、別に上品ぶる必要は一切ありません。それに誰にだってわからない「エチケット」が沢山あります。万が一わからない場合は、同席しているそれをよくわかっている人と同じ動きをする。食事のスピードを相手に合わせるのがとても大事なように、相手とシンクロする。そうやって共に食し、共に過ごす時間を気持ち良いものにすることが、相手とつながり合うという意味で最も重要なこと。そのための指針となるのが「ダイニング・エチケット」。
そして、相手に不快な思いをさせない、迷惑をかけない、それにはどうしたらいいのか?そう考え、ベターな方法を取るのが「マナー」です。賢明な皆様は、ナプキンをグチャグチャポン!などという荒っぽい間違いは、どうぞ犯さない様に。
*日本では混同されがちな「エチケット」と「マナー」の違いは次回解説しましょう。
 
しかし、このリサーチ作業の過程で、「グチャグチャポンと置く」以外にも、日本語記載のプロトコル/ダイニング・エチケット情報の中に、共通した大きな間違いをもう一つ発見。それは、食後にナプキンを置く位置。
正式には「自分の目の前にあるお皿の”左側”」なのにもかかわらず、かなり多くの情報が「“右側”に置く」となっていたのです。特にネット上で拾える情報にその記述を多く見かけました。それもマナーやエチケットを取り上げた、体裁はもっともらしく装ったサイト上にそれが掲載されているという始末。
私の推測ですが、きっとどこかの誰かが英訳した時に右と左を間違ったか、こういう情報をポストした最初の方の人が、単に右と左をタイプし間違えたか。そして、その情報を読んだ人が、その間違ったものをそのままコピーして使い、次の人がそれをまた使い・・・と拡散され、負のスパイラルが起きたのでしょう。「ナプキンは右に置く」などというとんでもない間違いが、ネット上で出回っている由々しき事態となっていますので、どうぞお気をつけください。
 
結論、「食後のナプキンは、使用した面が見えないように軽く畳み、自分のお皿の“左側”に置く」
あなたと食を共にする人々が、心地よくありますように。そこから先に可能性に満ちた素晴らしい時間が続きますように。
 

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