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採用・法律

第165回 生成AIの利用による思わぬリスク

中小企業の新たな法律リスク

生成AI利用による思わぬリスクとは

賀詞交歓会で神田社長と会った賛多弁護士は、神田社長の会社のホームページに有名俳優とおぼしき女性の写真が掲載されていることを話題にしました。

* * *

賛多弁護士: リニューアルされた御社のホームページを拝見しました。製品紹介のページなどを拝見すると、広告費もかなり掛かっているようで、社長の力の入れ具合が伝わってきます。

 

神田社長 : ありがとうございます。webサイトやアプリケーションを開発する弊社としては、自社のホームページを充実させることは新規顧客の獲得にもつながると考えています。

ところで、今回のリニューアルでは、賛多先生のおっしゃるような多額の広告費は掛けていないのですが…。

 

賛多弁護士: 本当ですか。製品紹介のページに掲載されている女性、有名な俳優の方かなと思いまして。ほら、このページです(スマートフォンでホームページを見せる)。

 

神田社長 : ああ、これですね。この女性は有名俳優ではないです。実は、今回、ホームページに掲載する画像素材を生成AIに生成させてみたのですが、生成AIにいろいろな指示を出したところ、たまたま、有名俳優「風」の画像が生成されたのです。有名俳優の画像を無断で転載することは、著作権などの問題があることは承知しているのですが、今回は、あくまでも有名俳優「風」に過ぎないので問題ないだろうと思い、そのまま掲載しています。

 

賛多弁護士: なるほど。神田社長、有名俳優「風」であっても、有名俳優の画像を無断転載する場合と同様の問題は起こり得ます。

 

神田社長 : え?そうなんですか?

 

賛多弁護士: 有名人の画像を商品等の広告として使用する場合、個人の氏名や肖像等が持つ顧客吸引力を排他的に利用する権利であるパブリシティ権との関係で問題が生じます。氏名や肖像等を商品等の広告として使用するなど、もっぱら氏名や肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合には、パブリシティ権侵害となる可能性があります。なお、神田社長のおっしゃるとおり、画像の無断転載は著作権侵害にも当たり得ますが、今回は省略します。

 

神田社長 : パブリシティ権という言葉はともかく、権利の内容については何となくわかっているのですが、生成AIが生成したのは、あくまでも有名俳優「風」の画像であって、有名俳優の画像ではありません。それでもダメなのですか?

 

賛多弁護士: 生成AIによる有名俳優「風」の画像生成・利用にはいろいろなパターンが考えられます。

 

例えば、①有名俳優の写真を読み込ませたり、生成条件を具体的に指定し、有名俳優「風」の画像を生成させ、利用するパターン、②有名俳優「風」の画像を生成は偶然であったが、有名俳優「風」であることを知りながらそれを利用するパターンなどです。もっとも、パブリシティ権侵害が、もっぱら氏名や肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に認められることからすると、どのような経緯で生成されたかということよりも、生成された有名俳優「風」の画像をどのように利用していたかという観点で考える必要があります。

ホームページに掲載されている画像は一見して有名俳優「風」、つまり有名俳優と酷似している女性ですし、もっぱら有名俳優の有する顧客吸引力を利用することを目的としているとして、パブリシティ権侵害を主張される可能性があります。

 

神田社長 : なるほど。ところで、インターネット上などでは、有名アニメの画風・作風を模倣した画像がよく利用されていますが、これは問題ないのですか。

 

賛多弁護士: パブリシティ権は個人の人格に基づく権利ですので、アニメやイラストの画風・作風までを保護するものではありません。また、画風・作風の模倣は、著作権や不正競争防止法との関係でも直ちに違法となるものではないと考えられます。もっとも、画風・作風の模倣を超えて、具体的な構図まで類似するような場合、著作権侵害となる可能性もありますし、生成AIによる画風・作風の模倣については業界団体から警告が出されています。したがって、画風・作風を模倣した画像についても取扱いは慎重になるべきです。

 

神田社長 : 賛多先生ありがとうございます。有名俳優「風」画像のリスクについてよくわかりました。弊社のホームページについては早急に修正いたします。

* * *

私たちの生活において、生成AIを利用する機会が増えています。生成AIは気軽に利用することができる一方、思いもよらない法的リスクが隠されていることがあります。生成AIによる生成結果が正確かという確認だけでなく、生成されたコンテンツを利用する段階において、法的リスクといった観点からの確認も必要となってきます。

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 種池慎太郎

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