会社や組織の上に立つ人は、逆に、下の役割がしたくてもできていません。
組織には仕組みがあり、その仕組みに動かされているのは人であり、その人の脳です。
その結果、上に立つ人は、上に立つ人の脳を使い、その脳の使い方がその人の脳を強化しています。上に情報を上げたり、指示を受ける下の者は、下の人の脳を使い、その脳の使い方がその人の脳を強化しています。ところが、脳からこの上下の人の脳の使い方を見ると、上の人が必ずしも、下より脳の使い方が優れているとは限りません。ここが組織の不思議なところであり、人生を面白くしています。
下は何時でも上を凌駕できるチャンスがあります。
そこで、リーダー脳の弱点、すなわち、リーダー脳が徐々に弱くなっていくポイントをお教えしたいと思います。部下は、より正確に上司に情報を伝えなければなりません。
この伝言情報が曖昧であればあるほど、組織運営にはほころびが出るでしょう。組織にとって不正確な情報ほど、困ったことはありません。
ところが、リーダーの脳は、部下からの正確な情報をいつの間にか不正確にを受けやすくなるという、上司の脳の副作用が明らかになってきました。上司の立場で、毎日、部下からの報告を受けている間に、上司の聞く力が劣化していくのです。
これはとっても悲しい事実です。せっかく出世して、上司の役職なのに、脳は劣化するというのは、絶句ものだと思います。
上司は、毎日、部下の意見や仕事の報告を念入りに報告されます。この部下の報告に一つ一つ対応していると時間がいくらあっても足りなくなります。そこで、何とか時間を節約しようとします。その時間の節約の仕方は、部下の話を聞きながら、シンプルに「こういうことなんだね」と要約して聞きます。いわば、部下の話を要約思考しながら聞くことで、時間の節約をしています。
これは、よく見かける事実です。このよく見かける要約思考の結果、即座に判断して指示が出せるようになります。ところが、これを毎日繰り返しているうちに、失うことがあるのです。「正確に聞けなくなる」ことです。正確に聞くことをやめて、自分で解釈しながら聞くことで、逆に聞き漏らしが多くなります。正確に言葉を聞くだけで記憶する力が衰えます。3行の文章ですら聞き漏らしてしまい、例えば、「5万4000円」と言っているのに、「50万円」と覚えていたり、「飲食店を経営している」と話しているのに、「飲食店の料理人だ」と聞き違えたりします。
このように書くと笑い話のようですが、1回聞いただけでは、おおよそ2から3割しか正確に聞けないことがほとんどなのです。
そこで、要約して聞くことはできるので、正確に聞く脳トレをして脳の聞く力をアップして、リーダー脳の弊害を克服しましょう。最近、宝島社から出版した「聞くだけで記憶力が上がるCDブック」 (TJMOOK)や日本経営合理化協会の私の音声講座を活用してみましょう。
経営者の脳の健康のために!