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- 第35回 『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』 (著:押井 守)
12月は毎年ドイツで過ごすことにしていますが、
今年はスペインのマドリッドにも足を延ばしてきました。
同じヨーロッパ圏でも、冬の寒さが違うこともあってか、
クリスマスマーケット1つをとっても、
だいぶ印象が異なります。
文化は気候によって作られる部分も大いにある、
と感じる日々でした。
そして、ヨーロッパ往復の機内で
一番の楽しみは"映画を見ること"です。
12時間もの長旅になりますが、
映画を見ていると、あっという間に過ぎていきます。
このたびは往復で8本見ました。
航空会社によって選択可能な映画の内容、本数も
大きく変わってくるため、
僕の場合は、映画の充実度が判断の決め手になることも
珍しくありません。
映画は最高の娯楽であると同時に、
実に優れた学びの教材です。
映画の見方1つで、仕事の充実度や目標達成にも
大きな差が出てくると確信しています。
そんな僕を唸らせ、新たなる知の世界に導いてくれたのが
今回紹介する
『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』押井守 (著)
です。
押井さんの映画監督としての勝敗論を
ビジネスパーソンの「仕事論」として応用し、
まとめられた一冊。
9本の映画を題材に展開されていきます。
面白いのは、この9本を見たことがあってもなくても、
それぞれの立場で得られるものがあるところです。
映画監督という立場ならではの目、
さらに、ビジネスパーソンの仕事に役立てることを
視野に入れての言葉は、新鮮そのもの!
本書の読破を挟んで映画を見ることによって、
学びが一層大きくなると感じます。
個として、チームとして、勝つためにいかに戦うか?
組織の中でいかに自らを活かすか?
上司と部下の在り方とは?
世界の舞台で作品を撮り続ける監督の処世術も含め、
さまざまな示唆に富んでいます。
他のビジネス書にはないアイデア、感覚がいいですね。
年末年始のこの時期に一読し、
映画もご覧になってみては、いかがでしょうか?
尚、本書を読むときに、おすすめの音楽は
セルジュ・デラート・トリオの『LOOKIN'UP』です。
フランスの名手が紡ぎ出すピアノの音、心地よいジャズのフィーリングに包まれ
気持ちが明るく、元気になっていきます。
ぜひ合わせてお楽しみください。
では、また次回。