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第164回 タワーマンション節税は過去のもの!?

中小企業の新たな法律リスク

タワマン節税は過去のもの!?

佐藤社長:先週、大学時代の友人たちと一緒にお酒を飲んだのですが、そのうちの一人が都心の一等地にある高級マンションを購入したみたいで、自慢げに話されましたよ。

 

賛多弁護士:それはとても景気のよいお話しですね。

 

佐藤社長:入口はホテルみたいな雰囲気だとか、昼も夜も窓からの眺めがよいだとか、なんだかドラマのワンシーンにでも出てくるような話しでした。

 

賛多弁護士:なるほど。でも、相続となったら少し面倒なことになりそうですね。

 

佐藤社長:面倒なことになる・・・といいますと?

 

賛多弁護士:実は、分譲マンションの相続時における価値は、国税庁が発表している路線価にそのマンション敷地の面積を乗じるなどといった通常の計算をするだけでなく、ある一定の調整をする必要があるかどうかの判断もしなければならないのです。その結果として、相続税が増加することも十分考えられます。

 

佐藤社長:一定の調整、相続税が増加、ですか・・・

 

賛多弁護士:まずは、土地については路線価方式や倍率方式、建物については固定資産税評価額などにより、それぞれ評価額を出します。これが通常の計算です。

次に、「築年数」「総階数指数」「専有部分の所在階」「敷地持分狭小度」を考慮した「評価乖離(かいり)率」というものを算出し、それに基づき「評価水準」を求めます。

そして、その評価水準の区分に従って「区分所有補正率」というものが定められていますから、その区分所有補正率を通常の評価額に乗じることで、やっと分譲マンションの土地と建物の相続税における評価が決まる、という仕組みになっているのです。

要は、時価に比べて相続税評価額が低すぎる場合には、より時価に近づけるように割り増し計算をするのです。また、専有部分の面積が同じであったとしても、上層階にいくほど評価額が高額になる計算になっています。

 

佐藤社長:う~ん、かなり複雑な計算をするのですね。そもそも、なぜそんなことをするのでしょうか?

 

賛多弁護士:分譲マンションは、近年、不特定多数の者により市場において活発な売買が行われており、相続税評価額と売買実例価額とが大きく乖離するケースが生じてきました(※)。また、相続税評価額と市場での売買価格とに大きな乖離があるとして令和4年に争われた事例もあり、その判決以降その乖離に対する批判の高まりや取引の手控えによる市場への影響を懸念する向きも見られました。

そのため、課税の公平を図りつつ、納税者の予見可能性を確保する観点からも、類似の取引事例が多い分譲マンションについては、いわゆるタワーマンションなどの一部のものに限らず、広く一般的に評価方法を見直す必要性が認められ、結果として、令和6年からは区分所有補正率を考慮した計算をすることになりました。

「現金で持っているよりも、マンションで持っていた方が、相続税評価額が抑えられるから節税になる」という、いわゆる「タワマン節税」にくさびが打たれたことになります。

 

佐藤社長:いわゆる「マンション」と言われるものは、すべて対象になるのですか?

 

賛多弁護士:事業用のテナント建物や一棟所有する賃貸マンション、総階数が2階以下の低層マンション、いわゆる二世帯住宅、借地権付分譲マンションの敷地などについては、区分所有補正率は考慮しなくてよいとされています。

 

佐藤社長:戸建てに住んでいる私には関係がないと今は思っていますが、将来、子どもが独立をして夫婦二人になったタイミングでマンションへ住み替えるといったような場合には、注意をしなければなりませんね。

 

賛多弁護士:そうですね。相続税は奥様やお子様たちに影響を及ぼすものですから、価値があるとされるものを手に入れるときには、少し冷静になって考えてみる必要があるのかもしれませんね。

*******

(※)平成30年中に取引された全国の分譲マンションの相続税評価額と売買実例価額との乖離について取引実態等を確認したところ、平均で2.34倍の乖離が把握され、かつ、約65%の事例で2倍以上乖離していることが把握された。

(国税庁『「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)』より抜粋)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/231013/01.htm

 

執筆:鳥飼総合法律事務所 税理士 田坂 尚靖

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