スーパーマーケットを経営する伊藤社長が、賛多弁護士のところへ法律相談に訪れました。
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伊藤社長:先日は、2号店を開業するための土地購入の交渉にご尽力いただきまして、ありがとうございました。おかげさまで、2号店を開業することができました。
賛多弁護士:こちらこそ、ご依頼いただきましてありがとうございます。とても繁盛しているようですね。
伊藤社長:はい。嬉しい誤算ですが、当初の想定を上回る数のお客様にご来店いただいています。ただ、2号店と隣接する土地は十分に管理されておらず、その土地の方が高い位置にあるので、2号店の土地の方にがけ崩れが起きるのではないかと心配しています。その土地は長年使われていないようですし、いっそのことその土地を購入して、第2駐車場にするのも良いのではないかと考えています。
賛多弁護士:隣接地の所有者の方と交渉してみるのはいかがでしょうか。
伊藤社長:不動産登記によると、個人1名が単独で所有しているようです。その方と交渉したいのですが、所有者である個人の方の所在が分からず、連絡を取ることができないのです。
賛多弁護士:それは困りましたね。所有者不明土地管理制度を検討してみましょうか。
伊藤社長:少し前にニュースで見た記憶があります。具体的に、どのような制度ですか。
賛多弁護士:
①所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないこと
②裁判所が、必要があると認めること
③利害関係人が請求すること
の3つの要件を満たす場合に、裁判所が所有者不明土地管理命令を行い、所有者不明土地管理人が選任されてその土地の管理や処分をする制度です。
①については、「必要な調査を尽くしても、所有者の氏名又は名称やその所在を知ることができないこと」が求められるため、住民票の調査をしたり、そこで判明した住所を訪問したりする方法で調査を行います。裁判所のホームページには土地所有者の探索等に関する報告書の書式が掲載されているので、その書式が参考になります。
②については、その隣接地は誰も管理していないようなので、基本的には認められると思います。
③については、その隣接地が適切に管理されないために、2号店の土地の所有者である貴社に不利益が生ずるおそれがあるといえますので、こちらも基本的には認められると思います。
伊藤社長:よく分かりました。所有者不明土地管理人は、その土地を売却する権限もあるのですか。
賛多弁護士:そのとおりです。所有者不明土地管理人は、その土地を処分する権限を有しているので売却することもできます。ただ、売却には裁判所の許可が必要です。
伊藤社長:なるほど。それでは、まずは所有者の住所等の調査をお願いします。
賛多弁護士:分かりました。
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令和5年4月1日に施行された民法改正により、所有者不明土地・建物管理の制度が新設されました。また、令和8年4月1日に施行される建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の改正では、所有者不明専有部分管理の制度が新設されます(第46条の2)。
所有者不明土地・建物管理命令の申立てなどについては、裁判所のホームページが参考になります。
https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/vcmsFolder_1958/vcms_1958.html
執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 小杉太一




















