※本コラムは2024年12月の繁栄への着眼点を掲載したものです。
生産性の基本的な定義は、「投入した資産に対してどれだけ成果が上がっているのか」。製造業は、リードタイムであったり、生産量であったり。サービス業は、顧客満足であったり、リピート率であったり。業種によって定義は変わるが、基本的にはこれだけである。
数年前より本格的な人手不足が始まった。働き方改革により残業も厳しく規制されている。そしてこれからは週休3日などという声も聞こえ始めている。週休3日に関しては、私も思うところが多々あるが。
このように、会社は、かつてと比べて遥に短い営業時間のなかで、売り上げを上げ続け、利益を確保して、社員の給料を上げ続けなければならない。そこで「生産性向上」は不可欠となった。しかしながら、一部だけ生産効率を上げても全体で見たら効果が薄かったり、人を増やしただけでは解決しなかったり、なかなか簡単にはいかない。それは何処に問題があるのだろうか。
一、手段が目的となっている
DXなど言葉に踊らされている人が多い。DXは目的ではなくあくまで手段である。目的があいまいなので導入しても使いこなせていない会社も見かける。まずは、一人当たりの粗利益高をいくらにする、一人当たりの経常利益高をいくらにするなどの具体的な数字を持つこと。それが目的でなければならない。
二、「昔からやっているから」というだけで
機械的に続ける無駄な業務プロセス
報告書、会議資料、会議のやり方・時間…どのように考えているだろうか。日本経営合理化協会の企画部の会議は、私が企画部長時代に一新した。まずExcelで議事録シートを作成し皆で共有をする。毎週月曜の会議で発言などある人は、「事前に」シートに書き込んでおく。そうすると当日は、司会者がシートに書かれている議案にそって進行をしていくので、無駄な発言等は出ずスムーズに進行することができる。出た結論は、議事録係がその場で打ち込んでいって更新をしていく。この繰り返しだ。昔からのやり方でやっていることが、価値を生み出す時間なのかどうか、一つ一つ評価をしていかなくてはいけない。
三、コミュニケーション不足
部門間の連携、情報が共有されない、重複した作業などだ。よくあるのが、階層間での報告・連絡・相談の欠如である。悪い報告程早く上に伝達しなければならないのに途中で握りつぶしていたりすることはないか。問題は誰にでも起こす確率はある。ただ報告義務違反はいけない。何度も言っているのに変わらないのは何処かに問題があるということだ。その根本的な原因を突き詰め治していかなくてはいけない。いつも言っているが、職場で起きる問題の9割はコミュニケーション不足だ。
四、リーダーシップ不在
計画書がない、行動指針がない、指示がない、指示が曖昧などだ。PDCAという言葉は誰もが知っているが、見ているとCであるチェックができていない会社がほとんどだ。チェックとは直属の上司による対面・対話である。そしてアドバイスまでできなければリーダーとは言わない。こういったものを養うには、リーダー自ら外に出ていくこと。会社の中にはお客様もいなければ、新商品・新事業のネタも無い。自ら率先しなければ、部下が行くことはない。
社長は自ら率先して行動するとともに、幹部を外部研修など外に出し、他の業界の人と接する機会を作ってほしい。カルチャーショックを受けさせることで社内に新しい風が吹くはずだ。社長が普段どんな勉強をして、何を始めようとしているのか、社長の考えを理解しその風が大きくなっていけばそれが社風となっていくはずだ。
※本コラムは2024年12月の繁栄への着眼点を掲載したものです。






























