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マネジメント

第3回 経営理念から付加価値を最適化するセブンイレブン

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

コンビニにはそれぞれ特徴があります。

デザートに強い、ローソンやファミマ。中食につよい、サンクスやサークルK。

これら企業は特徴ある商品群で顧客を魅了していますが、セブンイレブンだけは、「欲しいものが欲しい場所にある便利な<コンビニエンスな>売り場づくり」=最適化に焦点を当てることで、先に挙げた4社のように、商品構成の特徴を前面に押し出さずとも、確実に顧客の支持を勝ち取っています。 

同社がこのように競合他社より一歩抜きん出ることができるその理由は、4万店舗あるコンビニで1万店を展開するシェアーNO1である企業には、お客さんが何を欲しているかというデータが他店より多く入ってくるからでしょうか?

店舗(事業)を拡大し、シェアーを勝ち取り、セブンイレブンのように他社より情報を多く収集できれば、それだけで顧客の支持を獲得できるか?というと、

その答えは、「NO(いいえ)!」です。

なぜなら、現場の対応が悪ければ、購入時の満足度が低くなり、顧客は、たとえ欲しいものが欲しい場所にあったとしても、スーパーなどより割高なコンビニの販売価格に納得しないからです。

セブンイレブンは、デフレによって消費者が、安くてよいものはないということに気づき始める前から、コンビニの付加価値(便利さ)とは何かということを、経営理念を軸に、企業風土で戦術化することで、今のポジションを堅固なものにしたのです。

 

ステップ3~私(お客様一人一人)しかない

セブンイレブンは、世の中に“なくてはならない会社(お店)”であり続けるためには、「いつでも、いつの時代も、時代の変化に柔軟に対応し「便利の創造」」に努めなければならない」と考え、経営理念を具体化することで、敵は他の競合チェーンではなく、消費者ニーズの変化であると、社内の意識を一つにそろえました。

同社の経営理念とは、<いつでも、いつの時代も、あらゆるお客様にとって「便利な存在」であり続けたい>です。

この理念を、「基本の徹底」と「変化への対応」という共通言語で具体化し、~私(お客様一人一人)しかない~を切り口に、次のような仕組みと取り組みで企業風土を戦術化して来ました。

     オフィスの机を教室型に並べ、社員は肩書きで呼ばず、「さん」付け

<社内に序列をなくし、社員は常に~私(お客様一人一人)~の方向を向く>

     加盟店(FC店舗)が最上段、取締役会が最下段の組織図

<~私(お客様一人一人)~と接する加盟店が第一で、取締役会は次の次>

     「基本4原則」を徹底遂行

商品を常に新鮮な状態に保つこと(鮮度管理)

お客さまが欲しい商品を欲しいときに揃えること(品揃え)

店内をいつも清潔な状態に保つこと(クリンリネス)

お客さまに気持ちを込めて接客すること(フレンドリーサービス)

<当たり前のことで、~私(お客様一人一人)~にこだわる>

     陳列棚、商品カテゴリーごとで仮説を立て、現場を知る担当パートタイマーが発注

仮説を通し、~私(お客様一人一人)~の変化を感じ取る

セブンイレブンは、バブル崩壊後に、消費者は品質より値段の安さを求め、多くの小売業が顧客のニーズの変化を把握出来ない状態にもがく中、いち早く「価格重視の時代」到来をキャッチし、お値打ち感のあるセブンイレブンが”売るべき商品”を探り当てることで、消費者に高価値の商品を提供する事に成功したのでした。

同社は、「お客様の立場に立って考える」という基本姿勢にこだわり、先述の~私(お客様一人一人)しかない~を切り口に、仕組みと取り組みを通して、現場へ「基本の徹底」と「変化への対応」を繰り返し、社内にこれら共通言語を浸透させました。

 

なぜセブンイレブンの経営理念が標語にならず、売り上げに結びついたか?

その理由は、現場が馴染んだ会社特有の企業風土(共通言語)を戦術化(仕組みと取り組み)したために、社員のベクトルがそろい、向かうべき方向(変化に対応する)が明確になったからなのです。

 

清水ひろゆき

 

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