10月28日にアマゾンは、本社部門の従業員35万人のうち1万4,000人を削減すると発表した。
「現世代のAIはインターネット以来最も変革的な技術で、企業がかつてないほど迅速に革新を起こすことを可能にしている」として、管理職を減らしAI活用を強化するジャシーCEOの取り組みに沿ったものと思われ、デバイス、広告、プライムビデオ、人事、オペレーション、アレクサ、クラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」などが削減の対象となった部門と見られる。
アマゾンは2025年7月に、世界中300以上の拠点で稼働するロボットが合計100万台に到達したが、10月23日には新たなロボット・AIの新技術として、複数のロボットアームを協調させて荷物を扱う「Blue Jay」とAIを活用して、施設内の作業割り振りやトラブルを解決する「Project Eluna」を発表している。
「Blue Jay」は複数のロボットアームを連携させて複数の作業を同時に実行する次世代ロボットシステム、「Project Eluna」は商品の流れや作業者の位置、ロボット稼働率、過去の遅延要因などのあらゆるデータをリアルタイムで解析し、「どのラインで遅延が起きそうか」「どの工程を優先すべきか」といった改善策を管理者に提示する倉庫全体を統括するAIオーケストレーションシステムという。
それぞれ別の施設で実稼働テストが行われるとのことで、取締役会は、「2033年までに製品販売数が2倍になる」と予想し、AI、ロボットの導入によって、「今後数年間は従業員の数を増加させることなく維持できる」と見ている。
■AIの非定型認知労働への影響
2025年1月から6月の間だけで、テック業界での雇用喪失78,000件がAIに直接起因しているという。
米企業の30%が既にChatGPTなどのAIツールで従業員を置き換えており、この割合は2025年末までに38%に上昇する見込みで、米労働者の13.7%が既にロボットやAIによる自動化で職を失った経験があると報告している。
最も深刻な影響を受けているのが「非定型認知労働」と呼ばれる、従来は自動化困難とされた職種で、カスタマーサービス担当者は2025年までに80%が自動化され、データ入力担当者は2027年までに750万人、小売レジ係も2025年までに65%が自動化リスクにさらされている。
しかし、ゴールドマンサックスの試算では、AIが完全に導入された場合は先進国の労働生産性が15%向上するとされ、売上成長率が9.5%高くなる傾向があり、生産性向上が新たな雇用創出につながり、雇用成長率が6%高くなる可能性が示されている。
歴史的に、技術革新による失業増加は一時的であり、2年以内に影響が消失すると指摘している。
現在の米労働者の60%は1940年には存在しなかった職業に従事しており、雇用成長の85%以上が技術主導の新規職種創出によるものだ。
AIが雇用を奪うという面は決して否定できないが、それ以上に新たな雇用を生むと考えられるため、パソコンが登場した時、インターネットが使われるようになった時と同様に、それを使いこなせる従業員が求められることになる。
======== DATA =========
●Staying nimble and continuing to strengthen our organizations(アマゾンの発表)
https://www.aboutamazon.com/news/company-news/amazon-workforce-reduction
●Message from CEO Andy Jassy: Some thoughts on Generative AI(CEOのメッセージ)
https://www.aboutamazon.com/news/company-news/amazon-ceo-andy-jassy-on-generative-ai
●Introducing Blue Jay and Project Eluna, Amazon’s latest robotics and AI technology for its operations(AI、ロボットの導入)
https://www.aboutamazon.com/news/operations/new-robots-amazon-fulfillment-agentic-ai





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