米小売り最大手のウォルマートは、11月20日に行われた第3四半期決算は売上高6%増、調整後営業利益8%増と好調で、中でもグローバルEコマース売上高が前年同期比27%増、アメリカ単体で28%増と7四半期連続で20%以上の成長を達成している。
また、ネット注文全体の35%がウォルマート各店から配送され、3時間以内に届いており、ウォルマートは配送地域の拡大や輸送コストの削減、外部出店者によるマーケットプレイスの拡充を進めている。
所得層を問わず、商品をより早く受け取りたいと考える顧客が追加料金を支払う傾向も続いているとのことで、AIと物流とアプリを統合した戦略を進め、大手小売チェーンから巨大テック企業の仲間入りを目指している。
■ナスダックへの移行
ウォルマートは決算発表と同時に、12月にNY証券取引所(NYSE)からナスダックへ上場市場を移すという発表もした。
ナスダックへの移行は「テクノロジー重視の姿勢」を反映したもので、上場先変更理由の1つとしてAI技術の取り込みを挙げている。
NY証券取引所(NYSE)とナスダックは、NYSEが工業、金融など伝統的な産業、ナスダックがハイテクという全般的な「棲み分け」が成立している。
ウォルマートは今回の決定について、「テクノロジー重視のアプローチと、産業界を再定義する取り組みを重視するものだ」と説明、レイニーCFOは「ウォルマートはオートメーションとAIを統合し、複数の販路を組み合わせた小売りの新たな基準を設けようとしている」と述べ、投資家に対してテック先進企業としての姿勢を強調した。
ナスダックによると、2024年はS&P500構成銘柄のうち40社がナスダックに移管し、そのうち現在24社がハイテク企業が多いナスダック100に採用されているが、アメリカではほぼ全ての主要企業がAI戦略を備え、関連技術に資金を投じているため、従来の「ハイテク企業」という概念の枠が不明瞭化している。
■会話型ショッピング
ウォルマートはOpenAIと提携し、ChatGPT上で商品閲覧、購入ができるサービスを開始させると発表した。
これは店舗とWebで2億5,500万人いる会員向けに、生鮮食品を除く衣料品、娯楽品、加工食品などをChatGPT内で「購入」ボタンを押すだけで直接購入できる「会話型ショッピング」の幕開けを告げるもので、この発表を受けて10月16日には株価が5%上昇して時価総額が8,540億ドルとなり、「次の1兆ドル企業」ともみなされている。
ウォルマートを「小売り企業」としてではなく「AI活用企業」として見ると、自社でのAI活用のヒントになりそうだ。
======== DATA =========
●ウォルマート
https://www.walmart.com/
●Walmart Partners with OpenAI to Create AI-First Shopping Experiences
https://corporate.walmart.com/news/2025/10/14/walmart-partners-with-openai-to-create-ai-first-shopping-experiences
























