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- 第57回 b8ta(ベータ)
日本経営合理化協会主催のシリコンバレー視察ツアーでは毎回必ず訪問していた「b8ta(ベータ)」という店が、日本にもオープンした。
b8ta(ベータ)は店と展示スペース両方の性質を持つ「体験型ストア」で、「リテール(小売)を通じて人々に“新たな発見”をもたらす」ことを目指し、スタートアップ(ベンチャー企業)や既存企業の新規事業商品などを、クラウドファンディングサイトに商品を載せるように手軽に実店舗でも展開でき、消費者には世界中のよりよい商品、最先端商品と出会える場を提供している。
2015年にシリコンバレーでオープンしてから全米に23店舗、UAEのドバイに1店舗を展開し、年間300万人以上が来店、これまで1,000以上のブランドが出品している。
日本では、8月1日に新宿マルイ1階とJR有楽町駅前の電気ビルにオープン、出品コストは1店舗1商品あたり月額30万円(最低契約期間6カ月)だ。
b8ta(ベータ)の最大の特徴は、展示して商品を販売するというよりも、来場した人の行動データを細かく計測でき、それを今後の商品開発やマーケティングに利用できるところだ。
入口に設置した年齢層・性別を識別するデモグラフィックカメラ(プライバシーには配慮)、店内の行動動線や製品の前で立ち止まった人数を検出するAIカメラや、店舗スタッフが商品説明をした回数、ユーザーからのフィードバックなどのデータが収集され、出品企業に提供される。
天井につけられているAIカメラは、商品の前で5秒以上立ち止まると関心があると判定して計測を始めるようになっており、ベータ訪問した際はこのカメラの存在にも注目していただきたい。
また、特定のメーカーのみを集めた専用スペースの「エクスペリエンスルーム」もあり、新宿ではBASE、カインズ、有楽町ではGoogle、カインズ、GROOVE X(LOVOT)が出店、全体では145商品が扱われている。
■RaaS(Retail As A Service)
b8ta(ベータ)のような店舗は、「RaaS(Retail As A Service)」と呼ばれる、実店舗への出店をより手軽に実現できるサブスクリプション(月額課金)モデルだ。
ネット販売のようにオンラインのみで出店準備ができ、1ヶ月後には商品が店舗に並ぶスピード感があり、顧客との接点が持てる立地や、十分な知識を持つ店舗スタッフなどにより、マーケティングや製品の改善に生かせる来店客データも提供される。
また、店舗運営に必要な従業員の手配、トレーニングやシフト管理、在庫管理、物流サポート、POS(販売時点情報管理)などが月額出品料金に含まれた付帯サービスとして提供されている。
コロナショックで「店舗」の存在が見直されることとなったが、中小企業、スタートアップ、個人が新しい製品をどんどん開発して、それを一般消費者に体感してもらえる新しい小売の一つの形となりそうだ。
======== DATA =========
●b8ta(ベータ)
新宿店
東京都新宿区新宿 3-30-13 新宿マルイ 本館1階
営業時間、定休日: 新宿マルイに準拠
有楽町店
東京都千代田区有楽町 1-7-1 有楽町電気ビル1階
営業時間: 11:00〜19:30 / 定休日: 不定休