はじめに:ウェルビーイング経営の鍵は「マネージャーの設計図」
ウェルビーイング経営の核心は、働く人のモチベーションとエンゲージメントを高め、組織の活力を最大化することにあります。この理念を現場で実現するカギの多くは、実は中間マネジメント層(部長、課長、チームリーダーなど。便宜上、総じて「マネージャー」と呼びます)が握っています。
今日は、Googleの例にも学びながら、マネージャーの仕事の本質や評価軸について考えてみます。
1.多くの企業が陥る評価の罠
ここで、皆さんの会社の中間管理職の評価制度について、ぜひ考えてみてください。皆さんの会社では、マネージャーは何によって評価されているでしょうか?
・マネージャー昇格の罠:成果と育成のギャップ
多くの企業では、現場でプレイヤーとして高い実績を上げた社員が、その功績によってマネージャーに昇格するケースがほとんどです。その後の評価軸も、「自身が、あるいは部署が、どれだけ数字を出したか」に置かれがちです。
これは一見合理的ですが、この評価構造こそが、組織の活力を奪う悪循環を生み出します。昇格した社員は、必ずしも人材育成やピープルマネジメントに長けているわけではないからです。みなさんも、プレイヤーとして優秀だったために自信をもって昇格させた人材が、マネージャーになってみると、まるで別人のように苦労し、悩む姿を見たことがあるのではないでしょうか。
2.構造的な悪循環の例
「数字」で評価されるマネージャーは、短期的な成果を追求せざるを得ません。その結果、以下のような悪循環に陥ります。
・プレイングマネージャー化の加速:マネージャー自身が、「部下の報告を待つより自分でやった方が早い」と、つい部下の仕事に手を出してしまい、最終的に重要な案件をすべて自分で抱え込んでしまう。これまでに実績を上げてきたマネージャーにありがち。
・部下の自律性喪失: 部下は「どうせやっても口を出される、あるいは取り上げられる」と考えるようになり、自発性が失われる。
・部下の成長機会の損失:部下は、実際に打席に立たせてもらう機会がなく、結果としてチャレンジや失敗の機会が少ない。機会が少ないため必然的に成長が遅い。
・組織の疲弊: チームは活性化せず、マネージャー自身も「なぜ自分ばかりが忙しいのか」と疲弊していきます。
このような状況では、部下たちは疲弊してエンゲージメントは低下し、何をやっていてもやらされているだけ、という感覚に陥りがちです。その結果、休職・退職に至るリスクが高まり、最終的に組織全体の成果が出なくなるという、ウェルビーイングを著しく損なう構造的な問題が生まれてしまうのです。




















