3.活力を生む「設計図」への転換戦略
数値目標を達成することはもちろん重要です。しかし、目先の利益に固執しす、マネージャー自身が短期的な目線に陥ってしまうと、今期の数字達成という成果のあとに、メンバーが続々と辞めていく、という残念過ぎる顛末が待っています。人材は、つねに将来の組織の土台です。「人材」が活かせなければ、組織は終わりです。いくら採用に費用をかけても、採用した人材を育てられなければ、採用コストは無駄になってしまいます。こうした悪循環を断ち切るための処方箋として、マネージャーの評価軸を大胆に転換する経営戦略としての設計が提唱されています。
3.1. 評価軸を「成果」から「育成とエンゲージメント」へ
模範的な答えを出している会社の一つが、Googleを有するアルファベット社です。
同社では、マネージャーの評価は、自分自身の成果やチームの数字売上ではなく、チームメンバーのやる気やエンゲージメントを高めることに成功したかどうかに、軸足がかかっています。
・評価軸の目的: マネージャーに「どうすれば部下が最大限の力を発揮できるか」を常に考えさせること。
この評価軸の転換を通じて、チームメンバーが高い満足度を持って主体的に業務に打ち込んでいる状態(エンゲージメントと活力)を意図的に作り出しているのです。
3.2. 経営陣が仕掛ける「評価軸の転換」の即効性
長年の「成果至上主義」の慣習を変えるには、経営陣からの強力な設計が必要です。
だからこそ、経営陣のみなさまには「人材育成」そのものをマネージャーの最重要評価軸とする会社変革の波を起こすことを強くお勧めします。
この人事設計を行うと、マネージャーは初めて「育成とは何か」「どうすればチームのやる気を引き出せるか」と本気で考え始めます。言い換えると、評価軸にないことは、いくら口で大事だと伝えても、本気になることはありません。人材育成が大事だ、チームを考えて仕事するのがマネージャーの仕事だと口を酸っぱくして伝えても、それによって新マネージャーが翌日から、人材育成にすっぱり思考をシフトして、その方法を模索し、真剣に取り組んで悩み、ピープルマネジメントの勉強を始める、なんてことがこれまであったでしょうか?ビジネスでは何で自分が評価されるのか、明示することが必要です。自分が評価される指標こそがその人の目標だからです。
マネージャーの仕事は、「メンバーの育成」「チーム全体の成長」である。これを指標化して目標とし、これが達成できるかどうかが、マネージャーとしての唯一の評価軸であるという設計自体が極めて重要なのです。
自分の評価軸がメンバー育成そのものだと理解したならば、マネージャーは、それを真剣に考えて、模索して、時には部下とぶつかりながら、共に成長する過程を踏み出すでしょう。その過程で、部下に成果を出させるために打席の機会を作り、チャレンジしてもフォローできる体制を組み、成長を力強く支えるプロマネージャーの仕事が身に着くのです。このプロセスこそが、真のマネジメント力を育みます。



















