menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人事・労務

第22講 石油の前に水が枯渇?―ウォーターポジティブに学ぶウェルビーイング経営の観点

顧客・社員・社会から支持される「ウェルビーイング経営入門」

 ウェルビーイング経営という言葉が広まった今、従業員の健康や幸福だけでなく、「事業が依って立つ環境そのものが健やかであること」、つまり地球規模のウェルビーイングも含めて考える時代に突入しています。

 ここ数年は、世界情勢が不安定となり、同時に、資源問題がビジネス環境に深刻な影響を与えつつあります。特定のエネルギー資源への依存がいかに危ういか、経営者が向き合うべき大きなリスクとして「石油資源問題」が前線に出てきています。しかし、リスクは石油だけではありません。事業が、実は何に支えられているのか—その足元を見つめ直したとき、浮かび上がるのが「水」という究極の資源です。日本は石油大国ではありませんが、水には恵まれた国のはずです。しかし、実は、水でさえも、石油同様に無限ではないという事実は案外知られていません。

 今回は、水なしでは成立しない2つの巨大産業、「半導体」と「飲料」のトップランナー企業が実践する、「ウォーターポジティブ(使う以上に水を育む)」への挑戦について学んでみましょう。

 

事例1:半導体の巨人・TSMCが「熊本」を選んだ理由と、徹底した水循環

 もはやデジタル社会の心臓となった半導体。その製造には、想像を絶する大量で清浄な水が必要です。世界最大の受託生産企業、TSMCが熊本に進出した背景には、実は豊富な地下水への信頼があったとされています。しかし、水は無限ではありません。同社が水に対して行う取り組みは多岐にわたります。

・「1日3万t」という膨大な使用量への覚悟

 熊本第1工場がフル稼働すると、1日に使う水は約3万tにのぼります。これは住民約10万人の1日の生活用水に匹敵します。 TSMCの日本法人JASMは「資源の使い方や環境への配慮なしに生産活動を持続できない」と断言して、水問題に真剣に取り組んでいます。

・驚異のリサイクル率「75%」と地域への還元

 同社の取り組みは、大きく3つの柱で構成されています。

1. 徹底リサイクル: 排水を36種類に細かく分類し、最新のシステム(TMAH回収など)で処理。1つの水を約4回使い回すことで、地下水の取水量を大幅に削減しています。

2. 取水量を上回る「涵養(かんよう)」: 2024年には、取水量の3倍に当たる500万tもの水を地下に戻しました。冬の田んぼに水を張る「水田湛水」を進めるため、協力農家の米を「涵養米」として高く買い取り、社員食堂で提供するという、地域経済を巻き込んだ循環を作っています。

3. 厳格な水質管理: 排水の水質が基準を1ミリでも超えればバルブを閉じる。地域住民の不安に応えるため、徹底した透明性を確保しています。

次のページ事例2:サントリーが目指す「自然との共生」の究極形

1

2

第21講 ウェルビーイング経営の最前線:住友林業とジャパネットに見る「家族ケア」への全方位支援前のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連記事

  1. 第5講 二つのウェルビーイング経営の違い

  2. 第13講 社員の名前を呼んでいますか?優れた経営者はネームコーリング効果を活かす

  3. 第4講 最先端のウェルビーイング経営の5つのポイント

最新の経営コラム

  1. 第22講 石油の前に水が枯渇?―ウォーターポジティブに学ぶウェルビーイング経営の観点

  2. 第176回「もっと“安心”なモバイルバッテリーの選び方と使い方」

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2026年4月22日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 税務・会計

    第9回 DX人材を社内で発掘して、デジタル化を飛躍的に促進した会社
  2. 戦略・戦術

    第29回「韓国のアジア一番!ここから学ぼう!!パート2」
  3. 人間学・古典

    第51回 「彫刻家・平櫛田中」
  4. マネジメント

    第7回 こだわりを売り上げにリンクさせる理念経営者とは?~事例:サウスウェスト航...
  5. 愛読者通信

    【特別インタビュー】町の小さな洋食屋から上場へ!一倉先生から学んだ 社長の陣頭指...
keyboard_arrow_up