menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人事・労務

第10講 WILLとMUSTをCANに変える:配属に不満がある社員とどう関わるか

顧客・社員・社会から支持される「ウェルビーイング経営入門」

 ウェルビーイング経営とは、従業員がイキイキとやりがいを働きながら、業績を持続的に高める経営手法です。さて、経営者のみなさんは、従業員が個々にやりたいこと(WILL)と、会社として果たしてもらわなければならない業務(MUST)のバランスについて、悩んだことはありませんか?実は、このバランスは、多くの経営者が直面する重要な問題です。

 4月になり、新入社員の加入や人事異動で、従業員に新しい役割を与えた経営者の方も多いはず。新しい役割に胸を躍らせる従業員もいれば、配属や異動を不本意に感じる従業員もいるかもしれません。
 この不本意さは、自分のやりたいこと(WILL)とやらなければいけないこと(MUST)のズレから起きています。
 不本意な気持ちが会社にまん延すると、意欲や士気が低下して幸福度は下がり、結果として、事業全体の発展が鈍化する可能性があります。ウェルビーイング経営とは、従業員の満足度や幸福度を上げることで、事業成長も目指していく経営戦略ですから、この状態は見逃せません。

 では、配属等で従業員に不本意な気持ちが生まれた時、マネジメント側はどう対処するのが良いのでしょうか。
 この対処を理解するためには、人の心をWILL、MUST、CANの3つから考える視点が役立ちます。具体的には、WILLとMUSTをCANに変えていくプロセスをとるのです。

 というわけで、今回は、従業員のWILLとMUSTをCANに変える関わり方を探ってみましょう。

 

1 WILL、MUST、CANとは何か

 人は、自分の目の前のことを、WILL、MUST、CANの3つに分けて考えています。
 WILLとは、本人が心の底からやりたいと思っていること。MUSTは、他人から指示され、やらなければいけないこと。CANは、すでにできていること、または自分で不安なくやっていけることを指します。

 大事なことは、WILLとMUSTを、CANに変えていくかかわり方です。これができなければ、WILLが実現されないことを悔しく思い、MUSTをやらされることを不本意だと感じる状態がひたすら続き、いずれにしても意欲は下がるばかりです。

 

2 会社はWILLを実現する器

 まずは、WILLをCANに変える関わり方について考えてみましょう。
 多くの従業員は、自分のWILL、つまり、自分がやってみたいことを心のどこかに持っています。それを口にするかどうかは別として、やりたいことができれば胸を躍らせますし、できないとがっかりします。

 ウェルビーイング経営では、まず、会社は、従業員個々のWILLを実現するためのひとつの器であると考えます。この前提に立つと、この従業員のWILLを実現するにはいったいどんなやり方があるのか、会社側が考える発想が出てきます。そこには新しい役割やポストが生まれるかもしれないし、新しい事業が生まれる可能性もあります。また、事業だけでなく、社内のちょっとした活動を産むかもしれません。これを、従業員個々のWILLをかなえるだけでなく、組織の成長発展に結びつけることが、ウェルビーイング経営の手腕です。

 

3 WILLを恐れずに聴いてみよう

 WILLをCANに変えるためには、まずは、WILLについてしっかり聞くことです。たとえば、本当は人事の仕事がしたかった、という社員が別の部署に配属されたとします。この時、配属先の上司なら、この社員に、早く新しい仕事を覚えて部署に馴染んでほしいと思うでしょう。そして、「人事に行きたかった」というWILLについてわざわざ聞いてみることは、しない人が多いはずです。そこをあえて、本人に聞いてみるのがWILLからCANへの橋渡しのファーストステップです。

 つまり、人事としてやりたかったこと、本人の本当のWILLについて徹底的に聴いてみるのです。

次のページ4 WILLを今いる場所で実現できないか一緒に考える

1

2 3 4

第9講 JALがファーストクラスのコーヒーカップに障がい者アーティストのデザインを採用する理由 ―ウェルビーイング経営の戦略―前のページ

関連記事

  1. 第8講 多様性とウェルビーイングが価値を生み出す時代、組織力は〇〇力に比例する

  2. 第4講 最先端のウェルビーイング経営の5つのポイント

  3. 第1講 ウェルビーイング経営のススメ―社長は今こそトップメッセージを―

最新の経営コラム

  1. 第24回 営業マンに頼ることなく、売上高を確保できている

  2. Vol. 1 ニューヨークのビジネス界におけるトレンド:DEIとブランディングの重要性

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年5月1日号) 

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. コミュニケーション

    第35回 未来を祝って福を呼びこむ年賀状の書き方
  2. 教養

    2013年6月号
  3. 経済・株式・資産

    第128回 経営とリスク(13)
  4. マネジメント

    危機への対処術(16) 日米不戦の思い(鈴木貫太郎)
  5. 税務・会計

    第55回 2023年10月施行 インボイス制度~事前準備すべき4つのポイント~
keyboard_arrow_up