経済成長と財政再建の両立が喫緊の課題となった日本。その解決策が「新成長戦略」による経済成長と税収アップの両立である。引続き「新成長戦略」を紹介し、成長産業の発掘と資産運用の参考にして頂きたい。
1.先端産業分野(航空宇宙・ロボット・バイオ)の重要性
2010年は奇跡の「はやぶさ帰還」やノーベル賞の受賞ラッシュなど、日本の科学技術力の面目躍如の年だった。その後原発事故で技術力の評価は大いに傷ついたが、一方でスーパーコンピューター「京」による演算速度世界一達成に見るように、先端産業分野の競争力が再確認できた。政府事業仕分けによる無駄の排除も大事だが、一番でなければ国際競争に勝てず国威発揚にもならないのが、科学技術の先端分野である。
2.航空宇宙産業
人類を月に送り込んだ1969年頃、この分野には絶望的な日米格差があったが、現在その差は軍事を除けば急速に縮まっている。国際宇宙ステーションへの物資輸送は国産のHTVが就航し、衛星打上げビジネスに参戦できた。国産炭素繊維が航空機の燃費向上に貢献し、ボーイングとエアバスの独壇場である大型機に幅広く採用されている。中小型機はカナダ・ブラジルなど競合が多い中で、ホンダや三菱重工の活躍に期待できる分野だ。
3.ロボット産業
工作機械や産業ロボットも日本の競争力の高い分野である。近年、韓国や中国メーカーも低価格機中心に攻勢に出るが、日本は工作機械の心臓部であるNC装置などの基幹部品を抑えて比較優位が続いている。しかし、原発事故では当初米国製ロボットが危険作業に活躍し、ロボット大国日本も肝心な時に遅れた分野があると分かった。ロボットは危険作業だけでなく、高齢化社会の介護分野や警備保障分野で活用が期待できる。
4.バイオ産業
京大を中心にiPS細胞(新型万能細胞)研究が世界の最先端を走っている。再生医療関連の市場規模は急拡大が予想されているだけに、我が国がiPS細胞の作成方法など基本特許を取得した意味は大きい。今後開発拠点整備を進めて産学連携が強化されれば、先端医療技術の開発と実用化で世界をリードできる。また、スパコン「京」を細胞やタンパク質の構造分析に役立てれば、薬品候補の化学物質の発見が早まり開発期間が短縮できる。
以上