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- 第91回「トランプ相場における長期分散投資」~時間分散ならトランプリスクも避けられる~
1月20日からトランプ新政権が仕事始めになる。選挙中の発言がどこまで現実の政策に反映されるのか?専門家でも半信半疑ではないか。これから徐々に大統領本人の政治手腕も政権チームの経済政策も、その評価が定まってくるのは分かっているが、DC(確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などで、株式や株式投信などリスク資産を運用中の人は、選挙結果が判明した直後から続く『トランプ相場』の行方が気になるところだろう。
大統領選後の株式市場の上昇傾向を『トランプ相場』と通称している。その実態は、世界の投資家がリスクを取って資産運用に資金を投じる『リスクオン』に舵を切り、史上最高水準にNY株式市場を押上げ、昨年のBREXIT決定後につけた年初来安値から低迷していた日本の株式市場も、選挙後から年末19,100円台まで切り返して現在に至っている。これまでのところ市場参加者は、トランプ政権に関する懸念材料には目をつぶり、一方的に期待だけを膨らませてきたようにも見える。
今後の相場見通しは誰にも予測できないが、過去何度も起きたように「期待で上げて、実現したら下げる」ことにならないように願いたい。荒唐無稽なメキシコ国境の壁建設は論外として、トランプ政権の主要政策であろう「法人税減税」、「大型インフラ投資」、「米国第一主義の通商政策」などが実現するか、その効果が世界経済にプラス・マイナスどのように作用するか?まだ全く不確実である。しかし、トランプ政権が「期待」の準備段階から1月20日に「実現」することだけは確実だ。一つの潮目といえるのだろう。
私たちは、腰を据えた個人投資家であれ、将来不安を覚えて資産形成に励む現役世代であれ、すでにリタイヤしたシニアであれ、株式などのリスク資産に関しては、短期的な値動きではなく、中長期的に成果を求める「長期分散投資」の考え方で資産運用に取り組む人が大半だ。特にDCやNISAについては、毎月など定期的に積立投資の方法で資産形成する人がほとんどだろう。従って、過去2か月のトランプ相場の上昇や今後起きるかもしれないトランプ相場の下落に一喜一憂する意味はないと考えて良いだろう。
近年の金融市場は変動率が大きくて変動周期も短く難しい環境にある。今年もポピュリズムが拡散して、フランス・ドイツなどの重要選挙で予想外の結果が起きれば、昨年よりも激しい変動が考えられる。資産運用では、投資時期を分散するほどリスクの時間分散もできて、安定した運用成績が期待できる。この立ち位置なら、「トランプ相場は時間分散と長期投資を実践する過程の一つの出来事」と落着いて経緯を見守れるのではないだろうか。
以上