2008年9月のリーマンショックから数えて丸4年。この間、世界同時不況、新興国経済の回復と先進国の停滞、東日本大震災、欧州金融危機、タイの大洪水被害、北朝鮮とイランの地政学的リスクなど、世界を揺るがす大事件が頻発した。その都度驚いて、右往左往では身がもたない。資産運用に係わる日頃の情報分析に関して、どのような視点が大切だろうか。
1.マクロとミクロとトレンド、3つの視点を持つ
私たちは日頃、自分の資産や暮らしという「ミクロ(細部)」に最大の関心がある。それで当然だが、資産や暮らしは地域経済・日本経済・世界経済や社会と不離の関係にある。また、税制や社会保障制度等の枠組みにも影響される。このような個人の資産や暮らしに重大な影響を及ぼす「マクロ(大枠・広域)」に関心を持つことが重要だ。さらに見落としがちなのが、過去から現在までの傾向が今後も継続するか、という「トレンド(傾向)」分析だ。マクロとミクロとトレンドの3視点から物事を理解し分析すれば、資産運用の判断を大筋で間違えることは少ない。
2.現在起きていることが将来も続くのか、中長期的視点を持つ
例えば、日本ではバブル崩壊以降デフレ経済が続いているが、景気後退期に入った欧州の物価上昇率は約3%、米国2%、中国4%、インド10%と世界ではインフレ傾向にある。また、超円高に対してドル安、ユーロ安が続くが、今後1~2年はどこまで円高か想像できなくても、世界の見識ある人で5~10年先もこの円高が継続すると見る人は先ずいない。日本の経済社会を取巻く、マクロやトレンドから導き出される中長期的視点に基づく予想に注目し、事件や出来事も一過性のものか、構造的変化を伴う中長期的トレンドか、を見分けることも大事である。
3.世界の中心は西洋から東洋へ、歴史的転換点という視点を持つ
産業革命以来200年以上にわたって技術と情報を握り、富を独占してきた欧米から、中国・インドを含むアジアに世界経済の中心が移行しつつある。情報通信革命(インターネットの普及等)により、先進国と途上国の情報格差が解消され、今後は経済力が人口に比例し始め、人口減少中の先進国から人口増加国で若年層の多い新興国と途上国に、人もお金も向かうと見られている。
個人のライフプランでも、高齢期は「下山の哲学」に基づき、資産の上手な取崩しと整理が重要である。これと同様に、上り坂経済ではなく、明らかに「下り坂経済」にある我国の現実を直視した資産運用のため、情報分析力を養う必要があるだろう。
以上