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第182回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方105『声だけで好感を持たれる方法』

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

 前回「相手に好かれる聴き上手のスキル」についてお話しました。今回は、「声だけで好感を持たれる方法」についてお話します。   
「聴く・話す」は、コミュニケーションにおいて最も基本的に大事な部分なので、改めて押さえておく必要があります。ここでは特に電話における『声』についてです。

 突然ですが、皆さんに質問します。朝起きて皆さんは、まず何をしますか?ほとんどの人は順番はともかくとして、顔を洗い・歯を磨き・洋服を着替えるのではないでしょうか?ベッドから起き上がったとたん、「あー・あー・あー」と声をだして寝声から目覚めているときの声にしようとしますか?そのような方はいらっしゃっても少数派と思います。皆さんに意識していただきたいのは、電話ではお互いの姿が見えない、視覚がカットされた中でのコミュニケーションなので、「声」の役割の比重は高くなるということです。

 その意味から「声」にも身だしなみのようなものが必要ということです。ここをはっきり意識しているか、しっかり理解できているかで、電話の第一声だけで(私は研修のなかでは、第一声の第一音目でと言っています)相手に好感をもっていただける声を確保できるかどうかが決まります。

 【声だけで好感を持たれる心がけと工夫の6つのポイント】
1. 自分が電話の受け手であっても掛け手であっても第一声の第一音目を出す前に、口元は必ず上の歯計8本が見えるところまで口角を横に開いたところからスタートします。「笑声」(「えごえ」と読みます。造語で辞書には出ていません。口角を横にしっかり引くことで笑ったときの口元となり、見えない相手の声が笑っているように聞こえます)を徹底します。

2. 必ず話す相手を目の前にイメージして話す(相手の性別・年代・髪型・顔立ち・一重瞼それとも二重瞼など)のがポイントです。これらを意識することで架空の相手の目を見ながら話せます。

3. 滑舌が甘いと言葉が聴き取りにくくなるため①ラ行は5音とも舌を動かすので滑舌をよくする練習になります。
 ①「ラレリルレロラロ、ラレリルレロラロ」を言いながら、かつ笑顔を作りながら受話器を取ります。②マ行は5音とも上唇と下唇が付いた状態から「マメミムメモマモ、マメミムメモマモ」と発声するので、こちらも短時間で滑舌がよくなる効果が出せます。

4. 声量が小さめの方にお勧めは拗音(ようおん)の練習です。吸った息をお腹の中から「キャ・ケ・キ・キュ・ケ・キョ・キャ・キョ、シャ・セ・シ・シュ・シェ・ショ・シャ・ショ、」と言う具合に、息を強く押し出します。ほどよい声量は相手への説得力が増し、安心感を与える事もできます。

5. 抑揚をつけて話します。最初の頃のAIはびっくりするほど抑揚が無く一本調子でしたが、今は人の抑揚にかなり近づいてきていると感じます。(声優さんの音声の音程を一音一音インプットしたと聞いたことがあります)研修の中で、参加者一人ひとりの第一声を録音し、本人にその声を聴いていただきますが、どなたも言ったときの抑揚と自分の声を聞いたときの抑揚に3割程度のギャップがあると発言します。

 ①これは電話という機械が抑揚を吸収してしまうというのが一つの原因です。それを知らないとギャップを埋めることはできません。本人は抑揚をつけて応対したつもりでも、相手の方はあまり抑揚が無く淡々としている方だなと感じている可能性が大いにあります。

 ②研修では、同じ一つのセンテンスを一人ひとり録音し、「自分が表現しようとした抑揚の何割位が抑揚として出ていましたか」を必ず発表してもらっています。8割、9割という数字を聞いたことは殆どありません。機械に抑揚が吸収されてしまうことに加え、本人が抑揚をつけて言った「つもり」の結果は、5割~7割(7割は発表者の1割位です)が大多数の答えです。思いと現実がかなりかけ離れていますね。

 時々、謙虚さも加わるのか4割位と答える方もいます。そのようなときは、そのままを感じとっていただきたいので、「そこまでの差はなかったです」と一言コメントを入れさせていただきます。抑揚は自分が意識して表現した1.5倍位の表現で言うと、相手に丁度よく聞こえるでしょう。

 ③クレーム応対を行うときなども、抑揚は大きなスキルになります。一本調子でない言い方が「あなたの気持ちをお察しいたします」という響きになって相手の心に届くのです。私の知り合いに元女優がいます。クレーム応対のロールプレイングのクレーム応対者役の「良い例として」研修に参加をお願いすることがあります。同じ原稿でも彼女が表現すると、説明の納得度が高くなります。

 ある時、私の書いた原稿の一部がいつものような鼓膜に気持ちの良い響きではなかったので、その日の帰り道に「○○〇のところ、いつもの抑揚ではなかったけれど…」と言ったときの彼女の答えが「○○〇でしょ、あそこ言葉がしっかり理解できてなかったのよね、ごめんなさい」でした。言葉の100%の理解は抑揚の質をアップすることもできると学べます。その件以来、ロールプレイングの原稿は事前に彼女に見せて、理解しにくい表現はないか確認を取るようにしました。

 ④例えば、「ありがとうございます」は抑揚の付け方がA,B二種類考えられます。Aは、「り」のところに高めの音程の山を一つ作ります。Bは、「り」の他に「ざ」のところに二つ目の「り」より少しだけ低めの音程の山を作ります。同じ言葉でも異なる音声表現になり、使い分けとして後者は、より丁寧さを伝えられるので、それに伴うお辞儀の角度も話しを続けながら頭を気持ち深く下げるとよいでしよう。

6. 電話でのコミュニケーションで、抑揚がポイントのメインと言えますが、反面「自然さ」もとても大切です。

 ①私たちが普段話をするとき、そのスピードは緩急の幅を持っています。例えばワンセンテンスの中にもスピードの差はでます。『〇月〇日にご来店を頂いた○○○○様でいらっしゃいますね』の「〇月〇日」はこの場合大事な言葉なのでゆっくり、「ご来店をいただいた」は普通のスピードで、○○○○様はお客様のお名前なので丁寧にゆっくりのスピード、敬語表現ですが、意味を伴わない「いらっしゃいますね」は、やや早めのスピードで言っています。

 ②センテンスのはじめの音程をいつも同じ音程で始めると、多少の違和感を覚えます。微妙に音程を変えてスタートすると自然に聞こえます。③声量はときに気合が入りすぎてお客様の声量を超えた声量で話し続けないよう気を付けてください。これは意外と盲点です。④話すテンポは早めにお客様のテンポに合わせるとお客様は気持ちよく会話を進めることができます。姿が見えない同士のコミュニケーションですから、対面の時以上の心配りが電話では必要です。

 以上がお伝えしたい6つのポイントです。一度に全部を頭に入れるようとせずに、ゆっくりでも確実にそれぞれのポイントをクリアなさってください。

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