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第36講 カスタマーハランスメント対策の実務策㉓

クレーム対応の新知識と新常識

それはカスタマーハラスメントではありません!
②(後編)ご希望お断り時の「この対応をSNSに載せる!」

 SNSに書き込まれた場合、担当者の個人名がさらされる確率を下げることを目的に、やっておくべきことが3つありますので説明します。

 まず、1つ目は、「担当者の名前を、電話対応の最初と最後に言わない」「お客様のフルネームを訊く直前だけに担当者名を言う」というオペレーションの実施です。この名乗りのオペレーションが、今は、主流になりつつあります。つまり、お客様のフルネームをお尋ねする時以外は、担当者名を開示しない。そうすると少なくとも、お客様のお名前を尋ねる必要がない問い合わせ事案では、担当者の個人名をお伝えすることはなくなります。

 こうすれば、担当者の個人名を開示する場面が、少なくなり、お客様に個人名をさらされる場面も少なくなります。このようなオペレーションにすることは、担当者本人ではなく、企業が啓発・実施すべきです。

 2つめは、毎回、私から皆さんに言っていますが、担当者は「会社の代表」だという立場で話をしないこと。あなたは、お客様の声を聴き、会社に伝え、会社の回答をお客様に伝える伝書鳩です。伝書鳩の業務を担っている、いち担当者だという態度で対応をすることです。伝書鳩は、『伝える』のが仕事で、『解決する』ことが必須業務ではありません。そうすれば、たいていのお客様は「この担当者が断っているのは、会社の回答を言っているだけだから、この担当者に怒りを高めるのは筋違い」だと考え、SNSに対応不満を書き込むとしても、企業名で書き込むことになり、担当者名をさらされる可能性は低くなります。

 3つめは、とにかく『印象に残らない平凡な対応をする』ことです。それが、私がこれまで言ってきた、3つのあいさつ言葉を必ず言うことや、質問には質問をして回答をすぐにしないことを守ることや、「申し訳ございません」「ありがとうございます」を単体で使うことを禁じていることや、数字入りの仕切り直し言葉を言ってからこちらの説明を始めるなどのスキルを使った対応をすることなのです。

 「すごく、温かい対応をする担当者だ」や「失礼な言葉がしばしばある担当者だ」とお客様が感じる対応をするのをやめてください。前者の場合「あんなにやさしそうなのに、結局は私の希望の対応を断って来た。口先でごまかそうとしている」という怒りが生まれたり、後者は「担当者の態度も失礼だし、会社の対応も客の気持ちをないがしろにしている」と怒りが倍増します。そうすると、本当にSNSにも書き込みたくなります。なにしろ、今どきは、SNSに書き込むことは、平易なこと、特別なことではないのですから。それよりも「あきらめるしかしょうがないのかなあ・・」「この感じだと、SNSに書き込んだって馬鹿みたいだしなあ・・」と相手に思わせる対応を優先してください。なにも、自分の会社に好意を持ってもらおうとする必要はありません。お断りする事例なのにお客様の企業への行為を引きだせるはずがありません。重要なのは、担当者のあなたは、印象に残らない態度で、決まったことを言い、言ってはいけないことは言わないことを守ることです。つまり、会社から「これは、お客様に言っておいてください」「これは、今、お客様に言わないでください」と指示されたことを守るだけです。その指示そのものが、おかしな時もあり、それが、お客様を怒らせて、「SNSに書く!」と言わせることもあります。でも、それは、担当者のあなたが悪いではなく、お客様がカスタマーハラスメント客なのでもなく、会社に原因があるので、あなたには、無関係なことです。

 担当者のあなたは、私がこのコラムで何度も伝えてきたスキルを使いながらまず、初動をこなすことです。

 それが、印象に残らない態度で、決まったことを言い、言ってはいけないことは言わないことを守るスキルの第一歩になります。

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