投資の格言で、「もうはまだなり」という言葉があります。
これは、「もう底だと思えるようなときは、
まだ下値があるのではないかと一応考えてみなさい。」
というものです。
さて、税務調査も、『もうはまだなり』の世界です。
とある会社の税務調査において、
現在、不服審判所で、国税局と争っています。
この不服審判所に至るまでの道のりについて、
大まかには、次のようになります。
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❶税務調査で問題があった場合、
調査官から「修正申告をしてはどうか?」と勧められる
↓
❷会社が修正申告するか、
納得できなければ修正申告を拒否する
↓
❸税務署が更正処分する
↓
❹会社が、「不服審判所への不服申し立て」を選択する
↓
❺不服審判所による裁決
↓
❻裁決結果に対して、会社が納得できなければ、裁判にうつる
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こういった流れになりますが、
一般的な税務調査においては、
❷で調査が完了することがほとんどです。
というのは、ほとんどの会社が、
「修正申告」をして、調査を終わらせるからです。
修正申告については、
会社が自主的に「私が間違っていました。すみません」ということで、
修正して、追徴課税を払うことをいいます。
税務署も、間違いなく、修正申告を勧めてきます。
なぜなら、仮に、修正申告が拒否された場合は、
「更正処分」といって、税務署側が会社の誤りを正し、
その根拠等も明示しなければいけないからです
しかも、上司(署長)の決裁が必要だからです。
これは、税務署員からすると、相当めんどくさいのです。
中途半端な調査内容、調査結果では、
当然、更正処分などできないのです。
だから、しきりに修正申告を勧めてきます。
ときに、ブラフ(はったり)も織り交ぜてきます。
「我々は、いつでも更正処分しますよ。
どうしたって、私たちが勝ちます。
裁判したって勝ちますから。」
「もし、修正に応じていただけないとなると、
もっと深い調査をしますので・・・
改めて本格的な調査に入りますよ。」
実際に、このような言葉を、
色々と言われました。
要するに、社長は、あの手この手で
揺さぶられるわけです。
税務調査というのは、
会社の処理が、法律、ルールに則って正しく行われているかチェックされ、
間違っていれば正される、というものでは決してありません。
極論ですが、税務調査官にとっては、
「仮に、法律やルールから逸れていても、
とにかく会社側に修正をさせたら、それでOK」
ということです。
つまりは、ネゴシエーション(交渉)の世界なのです。
調査官に言われました。
「我々は、明日にでも更正処分をうちますよ」
「もう待てません。週明けに修正するかどうか、返事をください。
もし、修正されないということなら、すぐに更正しますので」
調査官曰く、「もう待てない!」というわけです。
ところがどっこい、そう言われて、
「ん~、やっぱり、納得いかないので、
どうぞ更正処分してください」
と伝えてから、実際に更正処分を受けるまでに、
9ヶ月もかかるではありませんか。
しかも、その更正処分の内容は、
何ともお粗末。
「もう(待てません)」は、
「まだ(待てる)」ということなのです。
いわゆる脅しに屈してはいけません。
税務署の“もう”は“まだ”ということを、
頭の片隅に入れておいてほしいのです。


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