menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

戦略・戦術

第230話 税務調査の「もうはまだなり」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

投資の格言で、「もうはまだなり」という言葉があります。

これは、「もう底だと思えるようなときは、
まだ下値があるのではないかと一応考えてみなさい。」
というものです。

さて、税務調査も、『もうはまだなり』の世界です。

とある会社の税務調査において、
現在、不服審判所で、国税局と争っています。

この不服審判所に至るまでの道のりについて、
大まかには、次のようになります。

=========

❶税務調査で問題があった場合、
調査官から「修正申告をしてはどうか?」と勧められる

❷会社が修正申告するか、
納得できなければ修正申告を拒否する

❸税務署が更正処分する

❹会社が、「不服審判所への不服申し立て」を選択する

❺不服審判所による裁決

❻裁決結果に対して、会社が納得できなければ、裁判にうつる

========

こういった流れになりますが、
一般的な税務調査においては、
❷で調査が完了することがほとんどです。

というのは、ほとんどの会社が、
「修正申告」をして、調査を終わらせるからです。

修正申告については、
会社が自主的に「私が間違っていました。すみません」ということで、
修正して、追徴課税を払うことをいいます。

税務署も、間違いなく、修正申告を勧めてきます。

なぜなら、仮に、修正申告が拒否された場合は、
「更正処分」といって、税務署側が会社の誤りを正し、
その根拠等も明示しなければいけないからです
しかも、上司(署長)の決裁が必要だからです。

これは、税務署員からすると、相当めんどくさいのです。

中途半端な調査内容、調査結果では、
当然、更正処分などできないのです。

だから、しきりに修正申告を勧めてきます。
ときに、ブラフ(はったり)も織り交ぜてきます。

「我々は、いつでも更正処分しますよ。
どうしたって、私たちが勝ちます。
裁判したって勝ちますから。」

「もし、修正に応じていただけないとなると、
もっと深い調査をしますので・・・
改めて本格的な調査に入りますよ。」

実際に、このような言葉を、
色々と言われました。

要するに、社長は、あの手この手で
揺さぶられるわけです。

税務調査というのは、
会社の処理が、法律、ルールに則って正しく行われているかチェックされ、
間違っていれば正される、というものでは決してありません。

極論ですが、税務調査官にとっては、
「仮に、法律やルールから逸れていても、
とにかく会社側に修正をさせたら、それでOK」
ということです。

つまりは、ネゴシエーション(交渉)の世界なのです。

調査官に言われました。
「我々は、明日にでも更正処分をうちますよ」
「もう待てません。週明けに修正するかどうか、返事をください。
もし、修正されないということなら、すぐに更正しますので」

調査官曰く、「もう待てない!」というわけです。

ところがどっこい、そう言われて、
「ん~、やっぱり、納得いかないので、
どうぞ更正処分してください」

と伝えてから、実際に更正処分を受けるまでに、
9ヶ月もかかるではありませんか。

しかも、その更正処分の内容は、
何ともお粗末。

「もう(待てません)」は、
「まだ(待てる)」ということなのです。
いわゆる脅しに屈してはいけません。

税務署の“もう”は“まだ”ということを、
頭の片隅に入れておいてほしいのです。

第229話 現金を会社の金庫や預金口座に置いてはいけません前のページ

第231話 インフレ期だからこそ、借入金利について再認識してください次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 残席1枠 第39期生「後継社長塾」2026年4月開講

    セミナー

    残席1枠 第39期生「後継社長塾」2026年4月開講

  2. 井上和弘の経営の核心102項

    井上和弘の経営の核心102項

  3. 井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

    音声・映像

    井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

関連記事

  1. 第45話 「最良の節税対策 それは社長退職金」

  2. 第199話 「2023年 銀行との付き合い方」

  3. 第181話 「キャッシュフローをよくしないと銀行返済は進まない」

最新の経営コラム

  1. 相談7:含み損のある土地があるのですが、別会社で買うのがいいか、個人で買うのがいいか、どちらでしょうか?

  2. 第9回 注意しても部下が変わらないのはなぜか? ~原因は人ではなく仕組みにある~

  3. 第146回 地味ながら世のクラウド化の追い風を受けて高成長を遂げる サイバーリンクス

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    人の心を取り込む術(2) 赦すことが生み出す力(魯の荘公、斉の管仲)
  2. マネジメント

    第374回 「イズム」とは、社長そのもの
  3. 社員教育・営業

    第61回 「コールセンターでの電話応対の基本」 応用編5
  4. 人間学・古典

    第5回 「人の道」
  5. 経済・株式・資産

    第48回「資産運用に重要な情報分析の視点」
keyboard_arrow_up