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さて、シリーズ「病気とは、才能である!」。今回は、痛風(つうふう)をお届けします。
痛風とは、文字通り「風がふいても痛い」くらいに、激痛が走る病気です。ある日とつぜん、主に、足の親指の付け根が痛くなります。突発的なので「痛風発作」と言いますが、これがまあ、本当に痛い。ペンチで親指をぐいーっと挟まれるような痛さなのです。
痛風にかかるのは、ほとんどが男性です。100人の中に女性は1、2名しかいません。きわめて男性性の強い疾患です。歴史上の人物でも、痛風だったのではないか、と推測される人物は多いです。
マケドニアのアレクサンダ-大王、
神聖ロ-マ帝国皇帝のカルロス五世、
プロシア国王フリ-ドリヒ大王、
フランスのルイ十四世、
宗教改革のルター、
清教徒革命のクロムウェル、
芸術家ミケランジェロ、
レオナルド・ダ・ヴィンチ、
詩人ダンテ、ミルトン、
文豪ゲ-テ、
スタンダ-ル、
モ-パッサン、
天才物理学者ニュ-トン、
生物学者ダ-ウィン
痛風で悩まされている方も、これだけの天才たちと同じ病気なら、なんだか勇気がわいてきますね。
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痛風という名の、もうひとつの由来は、「痛みが、風が吹くように全身を移動する」というものがあります。『風が体内を巡る』と聞いて、私がピンとくるのは、インドの伝統医学である「アーユルヴェータ」における体質論です。
この古代から続く伝統医学は、カラダの体質を大きく3つに分類することを基本としており、それは
◆ヴァータ体質
◆ピッタ体質
◆カパ(カファ)体質
と呼ばれます。それぞれを端的に表現するなら、
◆ヴァータ体質 → 風のエネルギー体質
◆ピッタ体質 → 火(熱)のエネルギー体質
◆カパ(カファ)体質 → 水のエネルギー体質
となり、「風」の作用に強く影響を受けるヴァータ体質は、まさに「痛風」に関わる体質なのです。
ヴァータ体質を、もう少し詳しく見ますと、
■バランスが取れているときには、
・肉体面では機敏で活発、頑張りが持続します。
・精神的には、想像力豊かで状況の変化への順応性が高くなります。理解もはやく記憶力もあります。
■一方で、バランスが崩れると、
・肉体的には手足の冷え、便秘がちになり、よくガスが溜まってしまいます。頭痛や腰痛も起こりやすくなります。
・精神面では、不安を強く感じるようになり、気分がころころ変わりやすくなります。集中力が減退し、何事にも必要以上に心配症になります。
■かかりやすい病気は、痛風のほか、坐骨神経痛、冷え性、頭痛、腰痛症、不眠症、肩こり、パーキンソン氏病、心疾患、顔面麻痺、便秘症、骨性疾患、大腸性疾患、精神病など。
「ヴァータ体質」が顕著に表れる人は、一見、変人です。アウトサイダー的要素が強く、分析と理論で「なぜ?」と突っ込んでいくタイプです。そして、動作や行動や話すのがとても早い。
このような体質は、次々とアイデアを生み出し、常人には計り知れない夢を描けるという才能として開花します。また、自分のたてた目標に対してはとことん努力する性格です。
ただ、周囲からは何を考えているか分からないと見られるところがあるので、時々、強烈な「取り残されたな不安」に苛まれることがあります。先にあげた歴史上の偉人たちも、周囲からは散々に誤解を受けたことでしょう。
そうした周囲の目に不安を感じ、自分自身も、自らの計画や夢のあまりの実現性のなさに大きく不安を感じたような時は、カラダの足の指にまさに「地に足をつけようね」とばかりに激痛の症状が起こすのです。
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痛風の医学的な原因は、「尿酸」によるものされています。(尿酸値は、健康診断でもおなじみですね)
尿酸とは、カラダの細胞の中にある核酸という物質を構成している成分である「プリン体」が分解されてできる物質なので、新陳代謝が繰り返されている私たちのカラダでは、健康な人でもある一定は日々、生成されています。
尿酸値の正常域は、血液1dl中、
・成人男性で4.0~6.5mg/dl
・成人女性で3.0~5.0mg/dl
の範囲ぐらいとされていますが、「高尿酸血症」と診断されるのは7.0mg/dl以上です。
古い細胞が死滅する際に必ず分解されるプリン体。これが正常域を越えて血液中に残存するという事態を、私は、古い細胞が遺す遺産という意味で、尿酸とは「過去の思考の亡霊」という独特な位置づけをしています。
あなたが新しく生まれ変わろうとするのを不安にさせる過去の自分。行き過ぎの自分の思考にブレーキを踏む、自らの過去の思考。
痛風発作をさける心理的な予防策とは、この辺を上手にバランスをとり、毎日の思考をひとつひとつ丁寧に実現させることだと思うのです。