自己資本比率が財務指標の中でも一番に大切な事は、経営者ならだれでも理解しているはずであります。しかしながら、これを実現するために高い純利益高を獲得しないと全く変化しません。経常利益を上げても半分近くの金額が法人税や配当になると、全く剰余金が変わらず、その指標は増加しません。
経済雑誌の週刊ダイヤモンドが「あぶない銀行のランキング」を年に一度、発表しています。皆さんご存知の通り、自己資本比率「8%」以上あることを銀行は義務付けられています。それを見てみますと8%に近い10%前後の金融機関は多いですが、12~13%は優良会社なのです。
会社の真の信用、安定度を計る上で33%以上を求めている我々に比べて銀行は低いのです。
しかし、それは当然と言えます。銀行のB/Sの右側の調達は企業や個人の預金に頼っている為だからです。多くの預金を集めて、それを元に金の必要な方に貸付て、金利(利ざや)を稼いでいるのですから・・・
しかし、昔のように世の中に金が少なく、借り手が多い時代は良かったのですが、今日のように借手が少ない時代は、銀行経営も大変なんです。そして、銀行の財務内容まで一般人にしらされて、批判を受ける時代になってきたのです。
銀行や上場会社の自己資本比率の低い会社は総資産の中に有価証券を持ち過ぎて批判される時代になっています。政策保有株(持ち合い株)はお客様や取引先の株主になっていることが企業ガバナンス面、透明性からも良くない時代なっているのです。
優良銀行と言われていた南都銀行の頭取は
「我が銀行が保有している有価証券は赤字の出る株式は一つもなく、これを売却すれば剰余金は増え、問題はない!」と発言していました。が、「持ち合い株式」そのものはそんなに簡単に売れません!
(だったら売却して自己資本比率を上げればいいのに…・総資産が減るのですから・・・・・)
相手先の了解も必要で、売れば株価が暴落するので、そんなに簡単には出来ないのです!
これをチャンスと思えば中小企業では、結構、株を他社に持ってもらっている企業があります。銀行・保険会社・地方企業に資本金を増やすために、頭を下げて 持ってもらっていたことのある企業、今こそ次代を見据えて株式構成を考える時代です。
今は中小企業にとって自社株の買戻し策を取らなくてはならず、やりやすい時代になっているのです。