景気が少し良くなってきているといっても、現実はまだら模様の不安定な景況といってもいい。
先が見えにくい時代だからこそ、トップは進むべき方向を明確に示し、その方向に突進していかなければならない。
「会社は社長の器」で決まるといわれるが、社長の人生観、ものの考え方、夢、実践力など、
経営者の能力が明確に企業の成長に反映されるものである。
経営者は常に夢、そして、会社の目標を社員に語り続けていく責任がある。
社長の夢が社員にどういう形で伝えられているかが大事だ。
日常の仕事の中で社長が夢に連動するいい口ぐせを連発しているところは希望が持てるといっても言い過ぎではない。
「夢を語れない社長に明日はない」とよく言われるが、中小企業こそ明確な夢が不可欠である。
いい口ぐせのある会社は戦略性があり、成長を続ける可能性の高い企業といっていい。
癒しブームが底流にあるのだろうか。
銭湯並みの低料金で非日常を味わえる大型温浴施設であるスーパー銭湯が人気を集めている。
稼げる健康施設として相次いで開業が続いているが、その理由は消費者の厚い支持を受けているからだ。
増え続けるスーパー銭湯の中で入場者数が全国でトップクラス、
経営的にも好調なのが「虹の湯 西大和 店」(奈良県上牧町)である。
虹の湯が人気を集めている理由は
「癒し効果のあるロケーション」
「天然温泉と37種の浴槽の完備」
「口コミで広がる 接客サービスの良さ」
などが挙げられる。リピーターが多いことである。
同社の大原社長は「施設自体が癒しの舞台です。舞台に出たら演じていきなさいとスタッフには言い続けています。お客様
に積極的に声をかけ、働きかけをすることを大事にしています。サービスの基本は徹底することと繰り返すことです」という。
現場での大原社長は「声をかけなさい」「お客 様を大事に」が口ぐせである。
大原社長は暇を見つけては施設内と周辺をこまめに歩き回っている。
お客の動きとスタッフの接客の様子を見ながら、気が付いたことをすぐに手を打つことを心掛けている。
人気が出る健康施設というのはハード面とソフト面の両方のサービスが顧客を満足させているものだ。
大原社長の「声をかけなさい」という口ぐせこそ究極のサービスといってもいい。
「癒しといっても、働いているスタッフの振る舞いからしか伝わりません。
一度来店した方がもう一度来たいといわれるように努力しています」という。
究極のサービスは「声をかける」という身近な働きかけの中にあるようだ。
上妻英夫
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