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マネジメント

第152回 『時間とは、作るもの』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

 
のちに鉄鋼王となったC.M.シュワップが、
若くて、まだ小さな会社の社長であった頃。
 
アメリカの経営コンサルタントであるI.B.リーが
何度もシュワップとの接触を試みるが、
「社長は、忙しい…」を理由に会ってもらえない。
 
そこでリーは
「忙しくなくなるノウハウを教示したい」と迫ると、
これにシュワップは乗ってきた。
 
リーはシュワップに、
「明日やるべきことを、6つ書き出してください」
と求めた。
 
これを行なうのに、シュワップは3分ほどかかった。
 
次に、
「どの仕事から片づけるのか、1番から6番までの優先順位をつけてください」
とやった。
 
これには、先の約2倍の時間である6分かかった。
 
「明日は、この順番で仕事を片付けることです。これを毎日続けてみてください」
リーは、そう助言した。
 
これが、『忙しくなくなる法』だったのである。
 
2か月後、2万5,000ドルの小切手がリーあてにシュワップから届けられた。
教えられた側が、それだけの価値を認めたのである。
 
その後、シュワップは38歳でUSスチールの社長になり、
鉄鋼王の道を歩み始めてたという。
 
ずいぶん昔に新聞でこの話を読んだ私は、我が意を得たりとばかりに、
その日一日気持ちよくイキイキと過ごした記憶がある。
 
 
考えてみると私たちは毎日、忙しい忙しい…と言いながら、
実に下手な時間の使い方をしている。
 
『時は金なり』というが、これはウソである。
 
失った金なら取り戻すことができるが、
一度射た弓矢と失われた時間は、決してもとには戻らない。
明白なことであるのに、
私たちは毎日の過ごし方について考えることが、あまりにも少ない。
 
時間は《在る》ものではなく、やりくりして《作る》ものである。
 
 
 

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