老舗の企業だが若い社長と若いスタッフで躍進中の中小企業がある。
埼玉県毛呂山町に本拠地を置く蔵元の麻原酒造株式会社である。
商品開発にも力を入れ、次ぐ次にヒットを飛ばす勢いのある元気企業でもある。
創業が明治15年、5代目を引き継いでいる麻原健一社長(41歳、杜氏)は15人の若い社員 (平均年齢28歳)を率いて、
柔軟な発想と将来の夢を明確に打ち出す若手経営者である。
同社に一貫して流れている経営姿勢は、「まじめなモノづくり」を徹底していることである。
初代の麻原善次郎は琵琶湖の湖畔で生まれ、9歳で東京・青梅の酒蔵へ奉公、29歳で現在の毛呂山町で蔵元を起した。
二代、三代と経て、まじめな酒造りはいまでも続いている。
初代の麻原善次郎が「近江やに名高き松の一本木先から先へと開くさざ浪」と後世の子孫に詠んだ歌がある。
まじめに努力し人に喜ばれる酒造りをしていれば、自ずと人から人へとさざ浪の如く、大浪となって世界中に普及していく
だろう、という意味が込められている。全国的に知られている代表銘柄「琵琶のさざ浪」として「さざ浪」を付している。
同社長の父親である先代(4代)の麻原秀夫の口ぐせは「寝ないで造った酒は寝ていても売れる」ということだった。
麻原健一社長は「『商品が一番』です。 混ざり物、まがい物でなく、自然なものを造る努力をしています。
わが社の自慢は、やる気のある若い精鋭が集まっていることです」という。
この会社の商品はヒットが続いている。
「奥武蔵 すてきな ゆず酒」(500ミリリットル、855円+消費税)は昨年8月末に発売して以来、
好調で同社の全商品の4割をしのぐ本数を売り続けている大ヒット商品である。
「梅酒ワイン」(500ミリリットル、1000円+消費税)も好調に売れている。
麻原健一社長は「労力を惜しむな、名を惜しめ」と檄を飛ばしながら、
「手を抜くな、全力で尽くせ」を 口ぐせに若手と一緒に将来の夢(生産拠点の海外進出)に向かって前進している。
彼の好きな言葉は「常に輝いていること」である。
休みなく働き、やる気旺盛な社員に感謝しながら、大きな夢を掲げてひたすら走り続けている。
上妻英夫