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健康

第13回 七里田温泉(大分県)体中がアワアワ!日本屈指のラムネ温泉

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

 ■炭酸泉は「心臓の湯」
 炭酸泉が人気だ。スーパー銭湯やスパ施設などに行くと、人工炭酸泉の湯船に出合うことが多い。最近オープンした市街地の温泉施設では、炭酸泉の湯船があるのが当たり前という状態になっている。
 
 人工炭酸泉は炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯で、湯に浸かると細かな気泡が体中に付着し、まるでラムネやシャンパンの中に身を沈めているような感覚が味わえる。目に見えて湯の効果を体感できるのが人気の秘訣だろう。
 
 炭酸泉は医学的にも効能があるとされる。皮膚から吸収された炭酸ガスは毛細血管を拡張し、血液の循環をよくする。心臓に負担をかけることなく、血液の循環がよくなるため、血圧を下げる効果もあるという。だから炭酸泉は「心臓の湯」とも呼ばれる。
 
 実際、長く炭酸泉の湯船につかっていると血液の流れがよくなり、体の芯までポカポカと温まる感覚がある。
 
 いいことずくめの炭酸泉だが、天然に湧き出る炭酸泉(正式な泉質名は二酸化炭素泉)は貴重な存在だ。炭酸ガスは泉温が高くなると気化してしまうので、40℃を超える温泉では気泡が体に付着することはめったにない。
 
 ■里山の小さな集落に湧く最強の炭酸泉
 私は3500以上の温泉を訪ねてきたが、泡付きを楽しめる炭酸泉は数えるほどである。なかでも、衝撃を受けるほどの泡付きを確認できたのが、大分県竹田市の小さな集落に湧く七里田温泉「下湯(したんゆ)」。通称、「ラムネ湯」だ。
 
 七里田温泉は、小さな温泉地だが歴史はたいへん古く、奈良時代の文献に「七里田温泉」らしき名が出てくるという。
 
 「木乃葉の湯」という立派な日帰り温泉施設でカギを借りて1分ほど歩く。小さな川沿いにある共同浴場のような建物が「下湯」である。小さな素朴な建物で、相当年季が入っているが、レトロな雰囲気が好きな人は逆にテンションが上がるかもしれない。
 
 浴室には、6人ほどが浸かれるシンプルな湯船がひとつあるのみ。湯船や床には、鉄分やカルシウムなどの温泉成分が地層のように積み重なり、赤茶色に鈍く輝いている。まさに、温泉がつくりだす芸術の世界。温泉成分が濃い証拠でもある。
 
 
 ■手のひらにも炭酸ガスが付着
 すでに先客が5人いたので、空いている1人分のスペースに体を沈めた。すると、シュワシュワと泡が弾けるような感覚に襲われたと思ったら、たちまち泡付きがはじまる。その瞬発力は一般的な炭酸泉とは比べものにならず、1分後には肌はびっしりと気泡で覆われていた。
 
 肌を指でなぞると、文字が書けるほどだ。体毛がなくて通常は付着しにくい手のひらにも泡がつくのには驚く。
 
onsen13_1.jpg
 
 これほど気泡が付着するのは、炭酸ガスの濃度が高いから。よく見ると、水面で気泡がパチパチと弾けている様子を観察できる。聞いた話によると、空気よりも重い炭酸ガスが下のほうにたまり、かつて酸欠状態になって命を落とした人もいるとか。換気扇がブォーンと大きな音を立てて勢いよく回っているのもそのためだ。
 
 37℃の湯は熱くもなくぬるくもなく、まさに極楽。体温とちょうど同じくらいだから、ほとんど熱を感じない。肌と湯の境界がわからなくなる不思議な感覚がたまらない。自分の体が温泉に溶けて、一体になるようなイメージだ。しかも、37℃ならのぼせることなく、長時間浸かっていられるのもいい。
 
 炭酸泉の密かな楽しみがもうひとつある。その瞬間は、最後に湯船から上がるときに訪れる。勢いよく湯船の中で立ち上がると、体中に付着していた気泡がプチプチと一気に弾け飛ぶ。このときの清涼感は、他の行為では体験できない不思議な感覚である。
 
 人工の炭酸泉も悪くないが、ぜひ天然の炭酸泉で、この気持ちよさを体感してもらいたい。

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