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人間学・古典

第107講 「論語その7」
己を修めて、もって人を安んず。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
世の中の指導者になる者は、修行により自己の人物器量を大きくし、その力量で以て人々を導き指導し安心させる。



【解説】
 「君子とは?」の質問に対し、孔子が「修己治人(シュウコチジン)」の考え方を示したものです。修己とは修行で己を鍛えることであり、治人とは人々を導き指導し治めることです。

 初歩的な修行は、行動の繰り返しとなります。学校の剣道部の例を取れば、試合に備えた竹刀捌きの反復練習となりますが、更に剣道修行が進みますと、「高度な精神性を伴った立ち居振る舞い」に重きが移ります。無刀流開祖の山岡鉄舟の剣道修行のレベルになりますと、剣道本来の刀も不用(無刀流)となり、修行者の立ち居振る舞いの立派さが主となります。そしてこの振舞いが日常行動にも発揮されるから、周りの人々がその立派な振る舞いに品性人徳を感じ、次第に尊敬の念を持ちます。この信頼感があるから指導や治世も旨くいくことになります。

 「徳は孤ならず、必ず隣あり」とは、論語の言葉です。修行した魅力的な人徳者は、周りが放っておかないから孤独に陥らないという意味です。
 しばしば指導者を目指す若者から、「どのような修行をすればよいか?」の質問を受けますが、大抵は掲句(己を修めて・・)や本句(徳は孤ならず・・)を説明し、古人の前言往行を学ぶために「名句名言の1万枚の和紙清書」がスタートになると伝えます。

 以下に筆者の修行生活を紹介します。現在70歳ですが、28歳の時から42年間「仁義道徳」を意識した修行生活をしてきました。この修行は、独学自分流の修行ですから必ずしも最高水準のものとはいえません。しかし古稀を迎えて振り返ってみますと、掛け替えのない一限人生において、精神面や金銭面からも多くの恩恵を与えてくれた修行でした。
(尚、「自慢は傲慢に通じる」とあります。敢えて自慢話と受け取られがちな修行例を紹介するのは、最近では修行の実例が少ないことからの理由ですから、ご容赦ください)

 筆者の修行の特徴は、(1)日常のわずかな時間を利用する「短時間修行」と(2)可能な限りの笑顔で取り組む「朗顔修行」の二つです。朗顔で取り組みますと調子の悪い時でも元気が回復しますから、健康に繋がる修行として気軽に楽しんでやっています。
 (1)機会あるごとの般若心経の読誦修行(早朝・運転中など。30年間で40000回)
 (2)機会あるごとの数分間の坐禅立禅の修行(起床就寝時・駅フォーム・電車内)
 (3)毎朝の職場周辺道路での吸い殻や空き缶のごみ拾い(40分で120個程度の回収)
 (4)毎朝の祈りのコミニケーション(古の先哲・両親家族・恩人・同僚への感謝)
 (5)足腰鍛錬と朗顔愛語の修行(階段300段・散歩7000歩・トイレの鏡前の朗顔訓練)
 (6)ボランティア運動・百万人の心の緑化作戦(30年間/400回/50,000人の人間学読書会活動)
また30~40歳代には、
 (7)海岸坐禅修行(世界で一番大きな太平洋を相手にする坐禅を10年間)
 (8)早朝出勤の便所掃除修行(一番早く出社し学校トイレ10カ所の掃除を10年間)

 

杉山巌海

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