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- 第26回 意匠設計部門のみの設計事務所を使うなら、大手ゼネコン設計部の方が良い設計をする
さて、今回はフェーズ4「 設計事務所、建設会社、売主 」の第三の項目『 「意匠設計」部門のみの設計事務所を使うなら、大手ゼネコン設計部の方が良い設計をする。 』のお話を致します。
前回の第25回はフェーズ4の「 設計事務所、建設会社、売主 」の第二の項目で『 設計事務所は「 意匠 」「 構造 」「 電気設備 」「 給排水設備 」「 空調換気設備 」「 積算 」全ての部署がある事務所でなければ良いマンションはできない。 』でした。
今回の第26回は第24回、第25回の内容に更に設計事務所選定基準の重要さの御説明を致します。
毎回申し上げていますが、多くのディベロッパーの方々は、設計事務所の選定は上司や用地取得部署からの申し送りや、しがらみで決めております。もうその様な事をしていたら、他のデベに負けてしまいます。
そこで、今回は前回の『 設計事務所は「 意匠 」「 構造 」「 電気設備 」「 給排水設備 」「 空調換気設備 」「 積算 」全ての部署がある事務所でなければ良いマンションはできない。 』の続きで『 「意匠設計」部門のみの設計事務所を使うなら、大手ゼネコン設計部の方が良い設計をする。 』のメリットをお話致します。
前回も申し上げました様に「 意匠設計 」のみ自社で行う設計事務所は「 構造設計 」「 電気設備設計 」「 給排水衛生設備設計 」「 空調換気設備設計 」や「 積算 」の仕事は全て外注事務所に依頼する事になります。
中にはデベには内緒で裏でゼネコンに「 構造設計 」「 電気設備設計 」「 給排水衛生設備設計 」「 空調換気設備設計 」を無料で行なわせて、デベからは「 意匠設計 」「 構造設計 」「 電気設備設計 」「 給排水衛生設備設計 」「 空調換気設備設計 」全ての設計料を請求している、とんでもない設計事務所が結構存在しています。この様な設計事務所は工事監理の時点でかなりゼネコンの言いなりになって、厳しく現場チェックを致しません。
この様な設計事務所と付き合っていましたら、デベも悲劇です。この様な良く無い設計事務所が分かる方法があります。近年「 建築士法 」が改正になり「 確認申請 」に管理建築士( 建築士事務所を管理する建築士 )の名前と登録番号、構造設計士、設備設計士各々の名前と登録番号を記載しなければならなくなりました。ですので、国土交通省か建築士事務所協会に各々の建築士の台帳が有りますので、その台帳を見せてもらい所属事務所名を確かめると専門の外注事務所かゼネコンの設計部かが一目瞭然です。
「 意匠設計 」のみ自社で行う設計事務所に設計全てを依頼した場合は、上記の確認をされた方が良いでしょう。
さて、話を本題に戻しまして「 意匠設計 」のみ自社で行う設計事務所は「 構造設計 」「 電気設備設計 」「 給排水衛生設備設計 」「 空調換気設備設計 」や「 積算 」の部署が社内に有りませんので、それらの仕事は全て外注事務所に依頼する事になり「 意匠設計 」「 構造設計 」「 電気設備設計 」「 給排水衛生設備設計 」「 空調換気設備設計 」や「 積算 」
部署との総合打ち合わせが頻繁に出来ないのです。
これら全ての部署の担当者を集めて打ち合わせを行いますと、意匠設計者が気付かなかったミスを設備設計者が指摘する事が多々生じ、将来のクレームを事前に防止できます。
そして基本設計から実施設計に移行する前に積算部署が概算工事費を算出し、デベの予定工事費よりかなりオーバーした場合、総合打ち合わせを行い、各々の部署に質を落とさずに工事費の節減の検討が可能なのです。
マンションの設計を「 意匠 」「 構造 」「 電気設備 」「 給排水設備 」「 空調換気設備 」「 積算 」全ての部署がある事務所に依頼するのが一番良いのですが、「 意匠設計 」のみ自社で行う設計事務所に依頼するのであれば、大手ゼネコン設計部に依頼する事をお奨め致します。
大手ゼネコン設計部には「 意匠 」「 構造 」「 電気設備 」「 給排水設備 」「 空調換気設備 」「 積算 」全ての部署が有りますので、先程申し上げた総合打ち合わせが可能でマンション完成後のクレームも少ないです。
この事はあくまでも、 「 意匠設計 」のみ自社で行う設計事務所に依頼するのであれば、大手ゼネコン設計部に依頼する事の方が良いと申し上げておりますが、やはり一番良いのは「 意匠 」「 構造 」「 電気設備 」「 給排水設備 」「 空調換気設備 」「 積算 」全ての部署がある設計事務所に依頼する事です。
その理由は、大手ゼネコン設計部が建築工事の工事監理を行いますと、同じ会社の人間ですので、どうしても工事現場のチェックが甘くなったり、デベが気付かない箇所の建材を安価な建材に変更を承諾したりしています。その点、「 意匠 」「 構造 」「 電気設備 」「 給排水設備 」「 空調換気設備 」「 積算 」全ての部署がある大手設計事務所の工事監理は非常に工事現場のチェックが厳しいので安心度は高まります。
但し、ここでマンションの設計を大手ゼネコン設計部に依頼すると大手設計事務所に依頼するよりもメリットが2つ有る事を申し上げます。
まず、1つ目のメリットはマンション竣工引渡し後、入居者よりクレームがきた場合の対処が簡単なのです。設計ミスなのか施工ミスなのかを検証して修正工事費負担会社を決定しなくてくても同じ会社ですので即、修正工事にとりかかかってくれますので良いのです。
2つ目のメリットはデベが大手ゼネコンに設計と施工を何件かを依頼致しますと、ゼネコンは恩義を感じてデベにマンションの用地情報を持ってきてくれる事です。デベに結構良いマンション用地を紹介してくれます。
デベの一番大事な作業は良いマンション用地を確保する事ですので、大変なのです。この大変な作業を良い大手ゼネコンに設計・施工で仕事を依頼すれば必ず良い用地情報を持ってきてくれますので楽になります。
最後に注意事項が有ります。
それは、マンション用地持込専門の営業でマンション工事や設計を請けている大手ゼネコンが有りますが、この会社に設計・施工を依頼致しますと、顧客無視に近い利益最優先のマンションしか作りませんので要注意です。
次回も設計事務所やゼネコンの選び方の御説明を致しますので期待していただければ幸いです。
以上
碓井民朗