食べログの得点を高める上でまず、行うべきことがある。それは、どんなお客様が来ても減点にならない運営である。そのために、おいしい店として不満が出る部分を消す作業を店作りの段階から行わなければいけない。
覚えておいて欲しいのは、店の経営とおいしい店を探しているレビュアの利害は必ずしも一致しない。したがって、評価されたいことから遠ざかるマーケットイン的なやりかたは、点数が上がらないようになる。例えば、高級店を目指すのに、昼のランチがお値打ち感の訴求となるとその書き込みが増えた場合、リスクとなる。4点以上の高得点を狙う場合のランチは戦略を練らないといけない。
6月の初旬、運よく「さえ喜」の予約がとれた。予約時に団体さんと3人のグループに挟まれてちょうど一席空いていたからのようだ。
店は、新地の目抜き通りにあり、店があるビルも容易にわかる。しかし、外側からこのビルにあることはわかるのだが、入口がちょっとわからない。したがって、一見客は来ないだろう。一等地ゆえ、敢えて一見さんが入らないような設えなのだろう。私は、消去法でそれらしい店の扉を開けた。すると、屋号の入ったのれんがある。
満席の店内に入り、すぐ、感じのよい店主があいさつされ、席に誘導してくれる。この瞬間にこの店はあたりだとわかる。この雰囲気づくりは減点されないポイントである。
そして、まず一品目がテーブルに出される。
確かに、東京の人間が寿司屋としてみると、東京の店にないせわしない店に見えるかもしれない。しかし、割烹文化のある関西ではこの点は加点ポイントになる。そのために、仕込み時間に準備しておくのではなく、極力お客様の目の前で料理を作りはじめようという姿勢が伝わる。
そして、加点ポイントにこれから調理するものを見せることがある。「さえ喜」ではこのことが、徹底されている。二番手のスタッフがそこまでその重要性をわからないが、そうすることで、お客様が食に興味をもつ(人もいる)。そうすることでお客様を教育できる。つまり、興味を持っていただくことが、お客様を育てる重要なプロセスになる。
まず良いのは持ち帰ることができるお品書き。できれば特徴や調理法も書くとよい。次が見せる、説明するのだ。ただし、写真不可にするとメモをとるのが大変だ。本当はお品書きが欲しい。
上にのったズッキーニがいい。
「こちらのズッキーニは‥」と
説明が入る。
より印象に残る。
口に広がる味わいは最高だ。