ハードではなく、ソフトに投資
ここで感心したのは、木古内町のお金の掛け方です。
集客の起爆剤は何といっても奥田政行シェフ。
超一流のコンテンツに投資しています。
集客力を高めるため、多くの企業はその予算の大半を建物、設備に投資します。
日本人は「箱モノ行政」とよく言われますが、何を展示する空間とか、何をする場所とか考えずとにかく建物をつくりたがります。
建物を創れば、そこに労働が生まれ、地元にお金が落ちるからです。
それに反して、ハードよりソフト優先で投資することはなかなかできることではありません。
が、「ソフトへの投資こそ最も大事なこと」だとわかっている会社があります。ディズニーです。
ディズニーでは、「ストーリーづくりに投資を惜しむな」といいます。
東京ディズニーランドがオープンしたとき当初の事業費は3,000億円と見込まれていました。
しかし、実際にかかったのは4,000億円。
追加で発生した1,000億円はすべてソフトへの投資だと言います。
人を感動させるだけのストーリーとキャラクターが出来たら、それを求めて人は集まってきます。
しかも、ハードは一度見たら「こんなものか」で終わりですが、ソフトは何度でも消費できます。
小説や映画は見返すたびに新しい気づきがあります。
その間、見る側が成長しているから違う受け止め方ができるからです。
魅力的なソフトは、リピーターを育てるのです。
このことは個人も同じです。
豪邸や高級車などハードに投資する人がいます。
一方、学習や習い事など自分を高めるソフトに投資する人がいます。
どっちの人にあなたは、もう一度会ってみたいと思うでしょうか?
ソフトに投資した人ほど、魅力的な人になるのです。
ただし、ソフトに投資する際には心配な面があります。
ハードへの投資よりも予算が読みにくいことです。
ハードは完成すれば終わりですが、ソフトには完成がありません。
もっと良くしたい、改良したい思いがどんどん湧いてきます。
すると際限がなくなり、費用対効果はかえって落ちてしまいます。
その見極めが出来ないのもソフト投資の問題点です。
が、それこそがソフトに投資する魅力の一つです。
どんな進化を遂げるか、予想できないからこそ楽しみなのです。
木古内町長はこのソフトへの投資を果敢に挑戦しました。
彼が描いたビジョンが町を大きく変えたのです。
私もこのレストランで食事をさせていただきましたが大変美味しく、木古内にまた行きたいという思い出ができました。
皆さんもハードよりソフトに投資しましょう!
そして、会社の魅力を磨いていきましょう!