約束手形の決済期限が60日に短縮
公正取引委員会は下請法の運用を変更し、2024(令和6)年11月以降、約束手形の決済期限を120日(繊維業90日)から60日に短縮することを公表しました。
手形取引は業界の商慣習により古くから継続しており、元請企業と下請企業との力関係もあり、中小企業の資金繰りの課題となっていました。
今後、手形サイトが短縮されることにより、中小企業の資金繰りの改善が期待されています。
そこで今回は、手形サイトの短縮による中小企業の資金繰りへの影響について、説明します。
現在の受取手形と支払手形の残高はいくらですか?
入金サイトの短縮で資金繰りが改善
製品を納品してから60日後に約束手形を受け取り、手形の満期日が120日後だと、売り上げ代金が現金化されるまで180日かかってしまいます。
このように、手形取引をしている下請けの中小企業においては、手形決済されるまでの約半年間、賃金や家賃などの支払いをするための資金が不足することが珍しくありません。
そのため、中小企業の社長や経理担当者は、受取手形を銀行で割り引いたり、仕入や外注費の支払いに手形を裏書きして回したり、当座預金の残高と手形帳を見比べながら資金繰りに追われていました。
また、大口な取引ほど支払いが手形になることが多く、売上が伸びても多額の売上債権をかかえて資金繰りが苦しい中小企業も少なくありません。
今後、手形サイトが120日から60日に短縮されることにより、中小企業の経営にとって良い影響が期待されます。
資金回収が早まれば、回収不能や資金不足のリスクが減るだけでなく、仕入先への支払い条件も改善することができます。
これまで手持ち資金が乏しかったため断っていた仕事も、これからは引き受けられるようになるでしょう。
手形の期日が短くなり売り上げ代金の回収が早くなれば、その分だけ資金繰りが楽になるのは言うまでもありません。
社長と経理担当者が、長期の手形サイトのための資金繰りで日々悩まなくていいのが何より喜ばしいことです。
手形サイトが短縮されたら手持ち資金にいくら余裕ができますか?