WBC の侍ジャパンメンバー大活躍でしたね!
子供の頃から「WBC に出場して世界一になりたい!」と本気で夢見ていた若者たちが、全力で掴んだ夢!素晴らしいです。
私のようなおじさんはもう、感謝しかありません!
彼らが、体力に劣る白人や黒人を相手に大活躍できたのは、ひとえに自分の夢を信じ、日々努力を重ねた結果です。
『ホモ・サピエンス全史』という名著があります。そこには、あらゆる動物の中でホモ・サピエンスだけが唯一発展・成長できたのは、「想像する力」を持っていたからだと書かれています。
未来を妄想し、それを実現に変えていく力は動物にはありません。
想像し、描いた夢を集団で共有するチカラこそ、自らを成長、発展させていく原動力です。
https://lifeset.co.jp/note/sapiens/
夢がなかなか出てこない中小企業の後継者
ところが「夢を描きましょう。あなたの夢は何ですか?」と尋ねても、なかなか出てこない人たちがいます。
中小企業の後継者たちです。
「夢なんかなくても生きていける」世の中です。ですから、そのように問いかけらえることはまずありません。
小学校の文集に書いたり、高校の3者面談で聞かれたるするくらいです。
ところが、彼らは違います。
背負っているものがあるがゆえに、社員に、取引先に、家族に、仲間に、コンサルタントにそう尋ねられてしまうのです。
近年はドリハラという言葉もあります。
「あなたの夢は何ですか?」と尋ねることが、ハラスメントになるという意味です。
「夢を持て」「夢くらいあるやろう」と言われても、目指している夢・ビジョンがない人には、それはとても苦痛なことなのです。
多くの後継者は、自分の夢のなさに劣等感を持っています。
よって、ビジョン開発を指導する私も、ひと頃は苦労しました。
昔のクライアントには、コーチングと称してドリハラまがいの質問をしたかもしれません。
また「これがビジョンだ」と言いながら、結局は、現状の延長線上にある、あまりワクワクしないゴールを設定し、満足していたかもしれません。
SDGsを活用し、ビジョンを楽しく、容易に描く
ところが最近、この苦しさがなくなりつつあります。
SDGsが国連から示されて以来、自分のビジョンを描くことと社会課題の解決が統合され、夢を描くことが楽しく、容易にできるようになったのです。
SDGsは、2050年に滅亡する地球を救うために2030年までに世界中で実現を目指す17のゴールです。
そして、その実現の担い手は企業です。
これまで、世界が抱えている問題は環境問題や社会問題でした。
環境問題は、地球温暖化や自然破壊、ゴミ処理などを指します。
社会問題は、戦争や難民、差別、児童労働、疫病などを指します。
こうした問題に対処してきたのは、政府や自治体、市民団体でした。
が、これらの問題の多くは経済問題に起因するものが少なくありません。
経済問題とは、先進国と途上国の所得水準の格差であり、資源やエネルギーの奪い合いです。
それを引き起こしているのは経済の担い手である企業です。
よって企業も、「責任をもって地球を守れ」というのがSDGsです。
そういう趣旨ですから、私は、夢が描けず苦しんでいる後継者の皆さんに「この17個の中から、あなたが解決したい問題がないか、探してごらん」と問いかけます。
後継者は、「あ、これなら自分で解決できるかも」と考えて、選べば良いのです。そして、その実現ために自分の会社を公器として使ってできることを考ます。
そうしたら、それはもう、後継者が目指すビジョンなのです。
SDGsがまだあまり知られていなかった2019年、私は中小企業大学校でビジョン作りを教えていました。
そこに来ていた受講生にSDGsの話をし,これを元にビジョンを考えてみて下さいと伝えました
ビジョンと3つの大方針
私が指導するビジョンは、一つの大きなビジョンを掲げにそれを実現するための三大方針で構成されます。
すると受講生が次のようなビジョンを作りました。
<ビジョン>
環境負荷を軽減する整備を行い、気候変動に影響を与えない自動車社会を目指す
<3大方針>
1.車検、点検を任せたら燃費が良くなったと言われるようにする
2.車を長期間使用可能にする予防整備の価値をわかりやすく伝える
3.特定の誰かができる仕事をなくし、全員が同じレベルで仕事が出来るようにする
このビジョンに私は驚きました。
作成者は、社員数5人の小さな自動車整備工場の後継社長です。
SDGsの「13番 気候変動に具体的な対策を」を自分ゴトと捉え、自社にできる環境保全を考えたのです。
私はその発想に、まさに『クリキンディ』だ!と驚きました。
クリキンディとは環境問題の大切さを伝える寓話です。
森が火事の時、いろんな動物が森から逃げ出します。が、最も小さなハチドリのクリキンディだけは、クチバシに水を加えて火を消そうとしています。
逃げる動物たちはそんなクリキンディに「そんな水ではどうにもならないよ」というのですが、クリキンディは、「私は私にできることやっているだけ」と火消しの作業を続けたのでした。
環境問題のように、問題が大きすぎるからといって気づかない振りをしたり、逃げたりするのではなく、当事者意識を持って、自分が自分にできることをやる。
その象徴として、語られるのがクリキンディです。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4334974910/nhkomorebi0d-22/
たった5人の小さな会社が、クリキンディと同じ志を抱いたのです。
壮大なビジョンの実現に向けて、自分にできることに集中する。
それは WBCでの優勝を夢見て挑んだ野球少年と何ら変わることはないのです。
SDGsはドリハラに悩む後継者たちの希望になる
今、私は現在、中小企業2社のビジョン開発をしていますが、うち一社は「12番 つくる責任・使う責任」に共感しどうしても出てしまう産業廃棄物を再資源化する方法をお客様と一緒に模索しています。
もう一社は今の朝ドラに登場するような製造業ですが、
「5番 ジェンダー平等を実現しよう」と
「3番 すべての人に健康と福祉を」の実現に向け女性にも男性にも働きやすい環境を整えています。
このように、SDGsはドリハラに悩む後継者たちの希望になるのです。
あなたは、SDGsに何番に貢献できますか?
ぜひ、あなたの会社だからこそできる社会課題解決のビジョンを描きましょう。そしてそれを大切な仲間と共有しましょう。