menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

第9回 社員に指摘されて気づいたビジョンレス経営の罪

酒井英之の社長のビジョン実現道場

社員からの指摘で気がついた 2つのエピソード

あなたは「夢」と「志」は、どう違うと思いますか?経営者は、その違いを社員からの指摘で気が付くことがあります。


今回はそんなエピソードを2件お伝えします。


大型施設の屋根やトンネルなどの建設現場で吹き付け塗装工事を請け負うA社の創業社長。同社は15年前までずっとどんぶり勘定で経営をしていました。その頃、受注が多いときは、銀行はお金をたくさん貸してくれました。キャッシュが潤沢にあるから、仕事に遊びにバンバン使う。それで何も問題ないと思っていました。


が、ひとたび景気が冷え込み受注が減ると、銀行は手の平を返します。社長はいつ資金ショートするかと冷や冷やです。なんでこんなことになったのか?!考える余裕もなく日々資金の手当てに奔走します。

 

会社がそんな状態の時、社員たちはどうかと言うと、普通の顔をして出勤し、普通の顔をして帰っていきます。社長と違い危機感は何もありません。

 

そんな社員を見て、社長は苛立ちます。そして、ついこんな風に彼らに当たってしまいます。

「おい、お前たち、会社が大変なんだから、『もっと、ここをこうした方がいい』とか『ここを改めましょうよ』とか、そういう意見はないのか?」

社長にそう問われた社員たちは「………。」

この状況を社長は当初、「うちの社員はバカばっかりだ」と嘆いていました。


ところが、あるとき社長は『問題』という言葉の定義を学びます。「現状」と「あるべき姿」の差が『問題』です。「あるべき姿=目指すところ」です。そのため「あるべき姿」が不明だと、現状との差が見えず、結果的に『問題』が見えません。

 

問題がないということは、クイズがないということです。クイズもないのに「答えだけ出してよ」と言われても出るわけがないのです。A社長が追っていたのは、日々豪遊する夢ばかりを追い、「あるべき姿」を示さずに経営していました。そのため同社の社員たちは問題が見えていませんでした。

 

ゆえに、改善案を出せるはずがなかったのです。

 

「バカだったのは、あるべき姿を決めていなかった自分だ」社長はそう気が付きました。以来社長は毎年経営計画発表会を開催し、自ら「あるべき姿」を考えて社員に示すようになりました。するとそれ以来、社員の方から「もっとこうした方が良いのでは」「私はもっとできると思います」などと、様々な前向きな発言が出るようになりました。


以後、A社は順調な経営を続けています。

次のページ

1

2

第8回 「どうしたらエゴを捨て、利他的になれるのか?」前のページ

第10回 『下町ロケット』のモデル企業に学ぶ、新規ビジネスの見つけ方次のページ

関連セミナー・商品

  1. チームV字経営

    チームV字経営

関連記事

  1. 第2回 『侍ジャパンのようにビジョナリーに生きる方法』

  2. 第3回 『ファミリービジネスの後継者ならば、Wビジョンを描こう』

  3. 第5回 10年後の『とんでもない未来の描き方』

最新の経営コラム

  1. 第107回 書類のデジタル化で仕事を見える化し、効率化とミス削減を実現

  2. 国のかたち、組織のかたち(25) アテネ民主政の再生

  3. 第82回『最近言われるマイクロストレスを知り、生産性を上げる』~組織の生産性を落とさないための隠れストレスを経営者は知っておく~

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 税務・会計

    第104回 帳簿書類のデジタル化後に経理がやるべきこと
  2. 教養

    2017年9月号
  3. 社長業

    第15回「情報を発信する」
  4. 社員教育・営業

    第97回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方18 表情とジェスチャー
  5. 経済・株式・資産

    第2話 コロナ危機、緊急融資制度に目詰まりが起きている
keyboard_arrow_up