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マネジメント

第141回 『「責務」と「責任」の違い』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

 
サラリーマンの赤ちょうちん会議でよく耳にする会話に、
“オレには、〈責任〉はあるけれど、〈権限〉は無いんだよ”
という不満がある。
 
いったい、〈責任〉とか〈権限〉とは何なのだろう。
 
英語では、Responsibility(=責任)と、Authority(=権限)と、
Accountability(=責務)という使い分けをすることが多い。
 
また、この三つは、バラバラな概念ではなく、
三つ揃ってはじめて全体が成り立つものだといえる。
 
すなわち、三位一体になるのだと考えられる。
 
 
組織の中で、よく言われるのは〈責任〉であるが、
この〈責任〉とは何を意味するかといえば、
与えられた仕事(業務)を成し遂げることである。
 
しからば、〈権限〉とは・・・。
 
与えられた仕事を成し遂げるために必要な手段や方法を準備・調達して、
かつ実際に使うことができることを意味する。
 
当たり前すぎる説明であるが、〈責任〉があって、
その責任を果たすために〈権限〉があるわけである。
 
 
ところが、この考え方が完璧であるためには、
〈責務(=Accountability)〉という概念が、一枚加わらなければならない。
 
これは、責任を果たすために、権限を使いながらおこなった結果、
あるいは、成果に対する責任のことである。
 
言い換えれば、やった仕事の出来栄えがよくて、
所期の目標を達成できたときに初めて、〈責務〉を満足させることができ、
責任が果たせた…と評価されるわけである。
 
 
日本語では、〈責任〉という言い方で一括りにしてしまいがちだが、
英語では、職務追行責任(=Responsibility)と、
結果責任(=Accountability)とに、使い分けているようである。
 
以前、「モーレツ社員」という言葉が流行した。
文字通り、朝早くから夜遅くまで寝食を忘れて働く社員のことで、
こういった仕事熱心な社員を、日本では「責任感の強い社員」として
高く評価しがちだし、それなりに正しいと思う。
 
しかし、アメリカの企業では、多少趣を異にする。
 
アメリカでは、「どんなに熱心にその仕事をやったか」というよりは、
むしろ彼のやった仕事の「結果はどうであったか」、
すなわち、〈責務〉の角度からの評価のウエイトが高いようである。
 
 
一般的に日本人の場合、
〈成果〉とそれに伴う〈報告〉の概念が、比較的強いと思う。
 
また、責任を果たすための手段としての権限のあり方や、
その使い方についても、
まだまだ勉強・改善の余地が多い。
 
経営用語では、〈責任〉〈権限〉〈責務〉の三つを、
「三面等価の法則」と呼ぶが、
この三つがそれぞれ等しく重要で、
ひとつでも不均衡だとバランスは崩れてしまうのである。
 
 
 
 

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