■リヨン
日本経営合理化協会のリヨン・パリ視察ツアーで訪問したフランス第2の都市・リヨンは、ソーヌ川とローヌ川が交わる場所に位置し、ルネサンス期には絹織物の中心地として栄え、ベルサイユ宮殿のシルクはリヨン製が80%使われ、ヨーロッパ中に絹製品を輸出していた。
産業革命期には絹織物工業が機械化され工業都市へと変貌、繊維産業、化学産業、ガス、兵器産業などで栄え、現在も自動車、冶金、テキスタイル、生物科学など多彩な伝統産業も維持し、製薬、化学、IT産業などが発達、リヨン大学、リヨン国立応用科学院(INSA)を中心とした教育・研究都市となっている。
■スマートシティ
2025年の調査では、リヨン市は人口52万人、メガロポリス・リヨンでは170万人だが、その中で工業分野従業員が115,400人、地域雇用の22%を占めるなど、依然として製造業の比重が高い地域だ。
だが、かつては「リヨンのマンチェスター」と呼ばれたソーヌ川とローヌ川の中洲地域の工場は、1950年代に閉鎖が相次いだ。
この地区の人口は1950年代は18,000人だったが、1990年代には8,000人まで減少しており、この150ヘクタールの「コンフルアンス地区」を再開発するプロジェクトが2000年から始まった。
かつて化学工場などがあった地域のため土壌改良を行い、ソーヌ川沿を第一期、ローヌ川沿を第2期とし、エネルギーの最適化、モビリティ革新、データ共創、環境保全を包括的に実現するフランス国内でもトップクラスのスマート都市を目指している。
その中のGreenLysプロジェクト(2012~16年)では、Linkyスマートメーターと太陽光・コジェネ設備、EV充電などを統合的に実証、家庭のエネルギー使用の可視化と制御を強化、2005年に開始された自転車シェアリングは世界有数で、2025年に電動自転車2,500台を追加導入、自動運転BRT(トロリーバス)など都市交通も導入している。

また、工場地帯という悪いイメージを払拭するために、民間企業が世界中の建築デザイナーを起用した建物を建てているため、色、形、高さなどはバラバラだが、建築的に面白い建物が多い。

建物には再生可能エネルギー導入や資源循環を推進しており、暑い空気を上に逃す吹き抜け構造の大型建築物なども多い。
リヨン・スマートシティは2030年にこの地区の人口を元の18,000人に戻すことを目標にして、第2期の開発が続けている。
======== DATA =========
●This $2B Eco-District Could Redefine Europe’s Cities【YouTube動画】
https://www.youtube.com/watch?v=k7yL2cRl0Zs
●ONLY LYON
http://www.onlylyon.com/en





















