ロシアによるウクライナ侵攻により、ドイツ首相はドイツ北部へロシアから天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2(Nord Stream 2)」の開発を中止する方針を明らかにし、米エクソンモービルはロシア極東サハリンでの石油・天然ガス開発合弁事業「サハリン1」から撤退、シェルもサハリンの石油・ガス開発事業「サハリン2」から撤退を表明した。
IT関連ではアップルがロシアでの販売を全面停止、グーグルもロシア政府から資金提供を受けている機関をユーチューブ広告などのサービスから排除、ツイッターとフェイスブックはロシア政府の支援を受けているニュースメディアによる情報を制限した。
ロシアの7つの銀行を、国境を越えた迅速な決済を可能にし、国際貿易を円滑に行うためのSWIFT(国際銀行間通信協会=Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)から除外する制裁措置が発表、これにはクレジットカード会社のビサ、マスターカードやアップル・ペイ、グーグル・ペイなどのオンライン決済サービスのからの締め出しも含まれるため、ロシアの一般市民にも影響が及んでいる。
■暗号資産(仮想通貨)
ロシアは仮想通貨の法整備を進めており、デジタル資産は広く所有されているため、ビットコインなどのデジタル資産は制裁回避の最も有効な方法になる可能性があるが、金や現金などに比べて暗号資産は動きをより追跡しやすいことから、制裁を回避することに使われることは少ないとも見られている。
ロシア通貨のルーブルが暴落している中で、ロシアの行動に反対している一般のロシア人には、仮想通貨をライフラインとして使用する人もいる。
■サイバー攻撃
2021年10月に米マイクロソフトが公表したデジタル防衛報告書によれば、国家ハッカーの仕業だと判明している過去1年間のサイバー攻撃のうち58%はロシアによるもので、標的になることが最も多かったのはアメリカで、ウクライナとイギリスがそれに続いた。
2017年にウクライナに対して放たれ、推計100億ドルの経済的損失をもたらした「NotPetya」マルウエア攻撃では、海運のマースク、物流のフェデックス、製薬のメルクなど複数の大企業に加えて、ロシアの大手石油会社ロスネフチも打撃を被っており、この種の攻撃がいかに無差別的で制御が難しいかが分かる。
日本の民間企業もこのようなサイバー攻撃の流れ弾に当たらないよう細心の注意が必要で、ウクライナ情勢は世界中に影響を及ぼしている。