■ビバテクノロジー(VIVATechnology) 2025
先日行った日本経営合理化協会の「フランス・リヨン・パリ視察ツアー」は、中身の濃い視察を連日行う充実した内容だったが、最終日のVIVATechnology2025ではマクロン大統領、NVIDIAのジェンスン・ファンCEO、フランスを代表するAI企業Mistral(ミストラル)のアーサー・メンシュCEOが揃って登壇するセッションを見ることができた。
この3人の話を実際に聞けるということで4,800人ほど入る会場は満席で、遅れてきたマクロン大統領が登壇する際は、スタンティングオベーションとなるなどの盛り上がりだったが、内容も注目に値した。
AIデータセンターには欠かせない最高性能のGPUを持つNVIDIAとMistralが提携し、パリ郊外の拠点を皮切りに、18,000 基の NVIDIA Grace Blackwell GPU を利用した大規模データセンターを、2026年までに展開予定する「Mistral Compute」が発表されたのだ。
この提携をマクロン大統領は「ゲームチェンジャー」とし、フランス、ひいてはヨーロッパ全体のテクノロジー主権強化に寄与すると称賛、「これは歴史的な提携であり、主権を強化し、より多くのことを可能にする」 と発言した。
NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、この提携は 「ヨーロッパのAI自立を加速するものであり、国家は自前でAIインフラを構築すべき」と強調したが、これは「ヨーロッパ発・ヨーロッパ内で完結するAIインフラ構築」に踏み込む画期的な動きだ。
ジェンスン・ファンCEOはVIVATechの基調講演でも、「主権AI(Sovereign AI)は重要であり、国家や組織は知性を外注してはいけない」と訴え、データ・モデル・ハードウェアを自国に置く戦略の必要性を強調していた。
■ミストラル(Mistral)
今回の視察ツアーでは、MistralにはVIVATechの前日に訪問したため、NVIDIAとの提携は明かされなかったが、創業2年でChatGPTやGoogle・Geminiのような一般向けのAIサービス提供から、企業が自社独自のデータを入れたり、使い勝手を調整する「企業カスタマイズAI」に転換(ピボット)したという話を聞いた。
MistralのAIは最初から技術内容を公開する「オープンソース」としているため、各企業向けにカスタマイズがしやすい点も挙げていた。
Mistralは、NVIDIAとの提携によるフランス国内大規模AIデータセンター構築の中核企業となるため、今後は最も注目するべきAIベンチャーの一つとなった。
======== DATA =========
●VIVATechnology 2025
https://vivatechnology.com
●NVIDIA
https://www.nvidia.com/ja-jp/
●ミストラル(Mistral)
https://mistral.ai