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- 第71回 クラブハウス(Clubhouse)
1月下旬頃からマスメディアなどでも数多く取り上げられ注目が集まっている、音声生配信のみのSNS「クラブハウス(Clubhouse)」は、世界のスマホアプリのダウンロード数が800万を越えた。
クラブハウスは現在はまだ正式サービス開始前の「招待制」段階で、対応スマホもiOS(iPhone、iPad)のみと、世界で利用者が最も多いアンドロイドにもパソコンにも対応していない状況なので加熱気味だが、公開ルームで座談会やインタビューを聞いたり、誰でも質問や登壇したりできるところが特徴だ。
テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)CEOや、フェイスブック(Facebook)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEO氏などの有名人がゲストとして登場したことをきっかけにアメリカで人気が急上昇、日本を含めて世界に波及した。
日本でも夜の時間帯に有名人が登場するルームが増えるとサーバーが落ちる場合もあるようで、有名人の話には興味を惹かれるし、ある程度の時間聴いていられるので、昔のラジオの深夜放送的な要素を感じている。
新型コロナウイルス感染拡大により海外旅行や国内出張、会議やイベント、コンサートなどが減り、有名人の話を直接聞けたり、友人と雑談する機会が減っている今の状況が追い風になっていると思われるが、Zoom会議などのビデオ会議とは違い音声だけなので、リラックスした状態で参加できることも利点だ。
■音声SNS
クラブハウスが注目されたことにより、twitter、Facebook、YouTube、Instagram、TikTokなど、これまでの文字、画像、動画が中心だったSNSで「音声」が脚光を浴びてているが、音声SNSが人気となる土壌はできていたという分析もある。
2005年にアップルが始めてその後一般化した「ポッドキャスト」と呼ばれるインターネットラジオは、アメリカでは月間9,000万人(米国ユーザーの32%)が聴いているし、ゲーム中継などに特化した音声チャットの「Discord」は1億人の利用者がおり、若い人達を中心にSpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスも一般化、それを聴くワイヤレスイヤホンなどもヒット商品となるなど、音声を聴く人は既に多かった。
そのため、twitterはクラブハウスに似た「Spaces(スペース)」という新たなサービスのテスト運用も始めているなど、今後は競合も多数登場してくると思われる。
■クラブハウスの今後
クラブハウスの規約には録音を含む記録は基本的に禁止、会話に参加した全ユーザーから書面で同意を取らない限りメモなども残すことはできないし、「オフレコ」と明示された場合、内容を他の媒体やSNSなどで公開することも禁止されている。
しかし、主催者は録音しており、米スタンフォード大学は中国企業のサーバーを一部利用しているので情報が中国政府に流れる危険性を指摘しており、情報セキュリティ問題も出てきそうだ。
また、既に「クラブハウス疲れ」などの言葉も出ており、コロナ禍の一時的ブームで終わるのではないかという観測もあるが、まだまだ始まったばかりなので今後の展開を見てゆく時期だと考えている。
新しいものには専門家はおらず、まずタッチしてみることが大切で、未体験の方は利用してみて、それから考えていただきたい。
======== DATA =========
●クラブハウス(Clubhouse)
●Discord
●twitter「Spaces」