最近「web3(ウェブスリー)」という言葉をよく耳にする。
インターネットが普及して我々の生活を変化させてきた段階は「Web1.0」「Web2.0」と呼ばれ、この次に来る波のことを「web3」とされる場合が多い。
1990年代から一般にも普及し始めたインターネットの黎明期には、今までマスメディアなどでしかできなかった自社のアピールや主張を、ホームページ(Webページ)を作成することにより自ら情報発信できるようになった。
インターネットは標準化団体によってまとめられたオープンな技術ルールに基づいており、この時期には「自立分散」「非中央集権」ということが言われたが、Yahoo!やGoogleなどで検索されなければ自分のページには来てもらえなかった。
インターネットはその後も進化を続け、IT(ドットコム)バブル崩壊を経てtwitterやFacebookなどのSNSが登場、世界で何億人もが利用しているプラットフォームに誰でも無料アカウントを作って発信できる環境の「Web2.0」となり、プラットフォーム企業は広告収入で巨大企業に成長した。
しかし、これらの大手ハイテク企業にインターネットが中央集権化されたことによる弊害が指摘されるようになり、「ブロックチェーン技術」をベースに、「Web2.0」のコミュニティ主導の理念と、「Web1.0」の分散型を組み合わせた新たな非中央集権型である「web3」が台頭してきた。
■クリプトエコノミー
暗号資産(仮想通貨)のビットコインの基本技術として生まれた「ブロックチェーン」は、暗号技術を使って取引履歴などを1本の鎖のようにつなげて記録するという技術で、取引履歴を中央集権的に管理する組織などはなく、多くの人達に分散的に記録されているため、一度書き込まれた履歴の改ざんもできないというものだ。
「web3」時代にはこの「ブロックチェーン技術」を利用して、前回の「山古志(やまこし)NFT」のようなNFTの所有権や、その売買による自立分散的なデジタル経済(クリプトエコノミー)が発展することが期待され、従来のトップダウン型の企業からプロジェクトごとに立ち上げられるDAO(ダオ:Decentralized Autonomous Organization=自律分散型組織)や個人間金融取引のDeFi(ディーファイ:Decentralized Finance=分散型金融)などという「自律分散型」の新たな組織や金融取引なども生まれている。
■自立分散
インターネットが利用できるようになった時に我々が期待した「自立分散」社会の到来は、インターネットの普及と技術革新により、ハイテク巨大企業への依存度を高めて集中化を生み出した。
「web3」が進化した先にも新たな集中化が起こる可能性もあるが、1990年代からネットカルチャーのオピニオンリーダーであり、2019年までMIT(マサチューセッツ州工科大学)メディアラボの所長を務めた伊藤穰一氏が言うように、新しいチャンスを生み出す可能性がある「web3」に参加(Join)してみることが今は大切だ。
父の「先見術」に「百聞も一見もワンタッチにしかず」というものがある。
新しいものには先ず自分でタッチしてみて、それから調べたり、考えたりすることが重要だ。
*****************************************************************
参考
「テクノロジーが予測する未来」(伊藤穰一著、990円)
SBクリエイティブ
https://www.sbcr.jp