2月27日にアップルは、10年間行っていたアップルカーの開発を断念すると発表した。
2024〜25年の発売を目指していたレベル5(完全自動運転)のアップルEVは、年間10億ドルの研究開発費をかけていたとされるが、今後は他社に遅れをとっている生成AI分野に人材や研究費を回すとみられている。
アメリカでのEV販売は2023年10〜12月期に1.3%増にとどまり、4〜6月の15%増、7〜9月期の5%増と徐々に減速している。
販売台数は10〜12月期、2023年通年とも過去最高を更新したものの、伸びは顕著に減速しており、フォードやGMはEV製造工場への投資ペースを調整している。
世界最大のEV市場である中国も2022年の96%増から2023年は36%増、今年は25%増の1,100万台と予想され、拡大スピードが減速している。
10年余り前から政府の補助金によって急成長した中国のEV産業だが、EVメーカーは2019年の500社から100社に絞られ、上位4社の販売台数シェアも、2021年の44%から2023年は60%に上昇するなど淘汰が進み、特にテスラを抜いて1位となったBYDがここ2年間で存在感を大きく高め、シェアは35%を超え、2位のテスラの11%と合わせると上位2社で半分近くを占めている。
世界でEVの普及は踊り場を迎えている。
◾️アップルの生成AI
EVを断念して生成AIにシフトしたアップルは、2月28日の株主総会でティム・クックCEOが2024年後半にAI実用計画の詳細を明らかにするとし、「生成AIで未来を再定義できると信じている」と発言している。
小さな機器上で効率的に動くAIシステムを開発するカナダのAIベンチャー企業・ダーウィン社(DarwinAI)を買収するなどしており、クラウドサーバーに接続せずに動作する音声アシスタント「Siri」のように、iPhone上で動く生成AIを開発していると考えられる。
昨年は「マグニフィセント7(荒野の7人)」と呼ばれるアップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、エヌビディア、アマゾン、メタ、テスラの7社の株価が高騰し、世界でAIや半導体関連株が上昇したが、今年に入りテスラとアップルの株価は下落している。
しっかりと将来を見据えて投資を行うウォーレン・バフェット氏はアップルやBYDの株を保有しており、今年後半か来年なのか時期は分からないが、EVもアップルも第2幕の上昇期が来ると思われる。
======== DATA =========
●アップル
https://www.apple.com/jp/
●BYD
https://byd.co.jp