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第七話 情報は現場にあり(南日本リビング新聞社・三陸食品)

社長の口ぐせ経営哲学

「持続は力なり」は企業経営の肝心中の肝心なことである。

鹿児島市内の全世帯の家庭に信頼性の高い情報を提供し続けているのが、南日本リビ ング新聞社である。
フリーペーパー「南日本リビング」を発行して25年以上、鹿児島市内に23万6000部(日本ABC協会認定部数)を無料配布 している。しかも、着実に配布するスタッフは、主婦を中心にする女性集団800名である。


同社の強みは市内世帯98%に確実に配布するというデリバリーノウハウを蓄積しているということだ。
配布網、配布の仕方などでISO9001を2年前に全国で初めて取得するというプロ集団の会社である。
実は手配りの配布網が充実していることから自治体の配布物(市民向けの広報誌など)も委託されている。 「鹿児島市役所より市民のことを知っている会社」と評判だ。

たとえば、「65歳以上の世帯は何世帯」「犬がいる世帯はどこか」などをコンピュータ画面で打ち出せるノウハウを持っている
会社である。確実に顧客を絞 り込んでDMを打つ時代だけに確実に効果をあげる情報を手渡しで届けることができることが
この会社の強みである。


同社の大迫純久社長は
「長年やっているので媒体としての信用力がついています。インターネット時代ですが画面はモノを運びません。手渡しの物流
が注目され、いろんなビジネスチャンスを生んでいます。事あるごとに『情報は現場にあり』を社員に徹底しています」という。
歩き回っているスタッフの情報こそ生きた貴重なもので、新しいビジネスを生み出す源である。
アナログとデジタルのバランスが企業を成長させているといっていい。

「本物の商品を提供すれば着実に売れる」ということを実感している経営者がいる。
ワカメを中心に海藻を専門に商品化しているメーカーの株式会社三陸食品(東京都足立区)の小山田政幸社長(53歳)である。
食品メーカーの営業マンから脱サラで会社を興し23年になる。
商品力の信用がつくまで 10年の歳月がかかったという。
会社を興した動機は「小さい頃に食べていた本物のワカメの味を食べさせたい」ということだ。


岩手産のワカメは肉質が良くて、味、風味、と一度食べると他のワカメとの違いがわかると自信を持っている。
「三陸のワカメも収穫される浜によって、水温、雪解けの水でワカメの質が毎年、微妙に違います。いい原材料を手洗い、
手詰めと加工段階でも手作りです。海で育った状態により近づけるために、手が抜 けません」(小山田社長)


同社はワカメのことを「にぎめ(和海藻)」と呼び、商品化している。
若布が飛鳥・奈良時代に貢物として重宝がられ、「にぎめ」と呼ばれていたことにちなんで付けられた。
本物のワカメにこだわり、ネーミングも含めてブランド化戦略をとっている。
小山田社長の好きな言葉は「手を抜くな」「原点に戻れ」 「自分の資質を改良しろ」で、
仕事の現場の中で檄を飛ばしている。


                                                         
上妻英夫

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