企業の盛衰のカギを握っているのは「人材を育てているかどうか」にかかっている。不況感が続く中で、ますます“人材育成”は企業成長の重要なポイントになっている。いい人材を雇い、育て、人材が力を出せる環境づくりに精を出している企業も少なくない。「パート・アルバイトの戦力化」は小売業、サービス業にとって死活問題である。“パート・アルバイトの研修”に焦点を当てた研修サービスを提供するベンチャー企業が登場している。
人材の教育研修に、長年、関わってきた研修のプロ集団が起業した研修を主業務にしたのが、株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン(本社・東京都新宿区)である。同社の中核をなす研修機関「グローイング・アカデミー」は十数名の講師陣を揃え、パート・アルバイト、店長、経営者など各階層に必要なスキルとマインドを整理した講座内容を提供している。
講師陣の代表であり、同社の社長、グローイング・アカデミーの学長を兼務する有本均氏(56歳)はマクドナルドの「ハンバーガー大学」、ユニクロの「ユニクロ大学」の学長を務めた人物。外食と小売で、サービス業一筋30年のキャリアを持っている。「飲食、小売、サービス業に特化した研修システムはわが社が初めてです。パート・アルバイトの教育は必要性がわかっていても、時間と費用の面でかけられないのが現状です」(有本氏)
グローイング・アカデミーの特徴は五つ。一つ目はパート・アルバイトも受講できるもの。二つ目は何度でも受講できる月額定額制で、対象人数は1社(200人以下)当たり、月額5万2500円、入会金1社10万5000円である。三つ目は100を超える豊富な講座内容である。四つ目は現場経験が豊富な講師陣を揃えている。五つ目は現場でのチェック&フィードバックを行う点である。研修で学んだことを現場で徹底チェックする。
同社の企業方針は「人が変われば、未来が変わる」である。サービス業は“人がすべて”といわれる。有本氏の座右の銘は、アメリカのマクドナルドの創始者であるレイ・A・クロックが語った「未熟でいるうちは成長できる。成熟した途端、腐敗が始まる」である。社員にも、自らが未熟であることを知り、成長すること、向上することが大切と訴えている。
同社の社名もグローイング(成長する)、人材教育に携わるものとして、自ら成長しながら、成長を促進させるサポートが仕事の内容である。実践的な研修を通して、業績向上を実現するお手伝いをする人財育成のサポート業が同社の使命である。「企業は人なり」の精神がますますクローズアップされる中で、注目を集めている企業である。
上妻英夫